「飼料イネ・放牧を利用した水田利用技術の展開」でシンポジウム:中央農総研が開催
2012 年 12 月 3 日
独立行政法人農研機構中央農業総合研究センターは3日、茨城県つくば市内で「飼料イネ・放牧を活用した水田周年利用技術の展開」シンポジウムを開いた。
挨拶で、寺島一男同センター長は、「飼料自給率26%の中で、飼料イネや飼料米などの利用が伸びてきたが、一方で政策リスクもかかえている。水田を畜産の飼料用に活用することには合理性があるが、その経済的メリットを証明する必要がある」と同シンポジウムの趣旨を述べた。
講演で中村靖彦氏(東京農業大学客員教授)はTPP問題に触れ、米国は自国の主張を通すのが上手な国であり、現況では日本にとって交渉参加は国益にならないだろうとの考えを示した。そのうえで、水田を活用して国内の飼料を増産させるためには、耕作放棄地の活用、(遊休)農地の公有化などの施策の後押しが必要などと話した。
シンポジウムは、平成21年度から、茨城県常総市の畜産農場と水田農家が連携した営農ベースで「飼料イネ活用型周年放牧モデル」を開発・研究している千田雅之氏(同センター)ら9名の演者が、牧草および栽培管理技術、家畜への栄養、経産牛肥育も含めた肥育の産肉特性、家畜の衛生管理、周辺圃場への影響などを含めた環境評価、営農評価などを発表した。
同センターでは、これらの研究が結合した、補助金がなくても成立し得る畜産経営と水田作経営の発展を目指しており、4日には現地視察と秋田、福井、岡山の実践現場からの報告などが行われる。(文責:関東支局)
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