TPPと農業構造改革

2012 年 11 月 10 日

Filed under: — maetomo @ 9:48 PM ニュース

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部は11月10日、東京大学内で第43回東京大学農学部公開セミナーを開催した。セミナーは「グローバル化経済と日本の農業」をテーマに開かれ、300名が参加した。講師は東京大学大学院農学生命科学研究科の本間正義教授、鈴木宣弘教授、中嶋康博教授の3名。

講演は本間教授「TPP問題と日本農業の再生を考える」、鈴木教授「TPP問題と日本農業の崩壊を考える」、中嶋教授「これからの農業に望む姿:消費とフードシステムの変化を見据えながら」の3題。

このなかで本間教授は「日本ではTPPによる関税の削減・撤廃が議論になっているが、すでに製造業や非農産物の関税は低くなっていて、関税撤廃の影響は少ない」「TPPによる関税撤廃は即時ではない、10年の実施期間が認められている。さらに交渉妥結までには紆余曲折が見込まれ、協定が発効するまでに2年程度かかるだろう。つまり7年後でも現行関税の半分は維持できる。この間に構造改革を行なえばよい。TPP参加の有無にかぎらず、7〜8年間で農業改革の結果を出さなければ日本農業に未来はない」などと講演した。そのためには農地集約による生産費低減や担い手への積極的な支援が必要だとした。また「農産物の消費は衰退し、農業も縮小を余儀なくされるのは国内市場である。マーケットを世界に求めれば大きな可能性が見えてくる。品質には十分に自信を持っていい」として、TPPでは日本農業は崩壊せず、むしろ一筋の明るい光としてみる農業者が日本農業の新たな地平を切り拓くと講演した。

一方、鈴木教授は「TPPの議論は民主主義崩壊を意味する」と話し、官僚主導の密室会議を痛烈に批判した。鈴木教授は「TPPは例外なき関税撤廃であり、日本の農業は崩壊する」「いくら規模拡大をしても、豪州の生産費にはかなわない」ISDS条項によって妥結後もさまざま制度の変更や撤廃を要求される。医療制度や保険なども攻撃され、主権をアメリカにとられるようなもの」と説明した。

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