シンポジウム「口蹄疫発生の検証およびその行方と対策」
2010 年 8 月 25 日
日本学術会議第二部農学委員会風送大気物質問題分科会・日本沙漠学会は25日、東京大学農学部で公開シンポジウム「口蹄疫発生の検証およびその行方と対策」を開催した。
このシンポジウムは、このたびの口蹄疫の発生原因や予防対策、経過・事後処理、今後の対策、反省を踏まえ追跡・究明するとともに、今後の科学的対応への参考・教訓とすることを目的として開催されたもの。
真木太一氏(筑波大学北アフリカ研究センター客員教授/九州大学名誉教授)は冒頭で、「わが国は約10年間、口蹄疫の清浄国であったが、ついにワクチンも使う結果となってしまった。非常に残念なことだが、今後、短期・長期的対応策が不可欠である」と述べた(写真)。
本シンポジウムの講演内容は、
「黄砂によって輸送される病原性物質―アレルゲンと口蹄疫ウイルス」
筑波大学・北アフリカ研究センター/礒田博子氏、山田パリーダ氏、森尾貴広氏
「黄砂の長距離輸送と宮崎県内での口蹄疫発生の気象的特性」
筑波大学・北アフリカ研究センター/真木太一氏、(独)国際農林水産業研究センター/八田珠郎氏、(独)農業環境技術研究所/杜明遠氏、九州大学大学院農学研究院/脇水健次氏
「2010年宮崎に発生した口蹄疫について」
(独)農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究所・企画管理部/津田知幸氏
「口蹄疫ウイルスの性状とその病性について」
帝京科学大学・生命環境学部/村上洋介氏
「近年、英国・韓国およびわが国で発生した口蹄疫について―とくに感染経路を中心に―」
東京農工大学大学院・農学研究院農学府農学部・獣医学科/白井淳資氏
講演者の一人である津田知幸氏は、「今回の口蹄疫で、ワクチン接種処分を含め約29万頭の家畜が犠牲になるという、わが国の畜産史上未曾有の被害をもたらした。今なお発生農場では大量の糞尿が残されており、これらの処分が完了し、家畜の再導入が開始されるまでは防疫措置が完了したとはいえない。今後、畜産再開を見届けながら、今回の防疫について、より詳細な検証を進めていかなければならない」と述べた。
TrackBack URL :
Comments (0)