乳房炎用ワクチン「スタートバック」の効果を検証 共立製薬
2019 年 11 月 26 日
共立製薬(株)は11月25・26日、北海道帯広市と札幌市で、乳房炎用ワクチン「スタートバック」発売3周年「フォローアップセミナー」を開催した。獣医師、酪農家、関係機関など約250人が参加した。
初めに「スタートバック」を開発したヒプラ社(本社スペイン)が会社紹介、そして「スタートバック」の特長を紹介し、その後、3題の講演が行なわれた。
●搾乳衛生をきちんとしたうえでワクチン接種を
スペインで乳質改善コンサルティングを手掛けるオリオール・フランケサ・オラー獣医師は「黄色ブドウ球菌による乳房炎に対する農場での乳質対策」と題し、自身が行なっている黄色ブドウ球菌対策の重要ポイントを詳しく解説した。黄色ブドウ球菌は搾乳時に伝播することから、搾乳手順として、前搾り方法、タオルやライナープラグの洗浄消毒、ポストディッピングの重要性を語り、またミルカーの真空圧の変動と過搾乳、ミルカー洗浄の実態を紹介した。これらがきちんとできたうえで、ワクチン接種や淘汰プログラムを実施すべきであることを強調した。
●体細胞数優秀農場でも効果あり
酪農学園大学獣医学群の安藤達哉准教授は「ホルスタイン種乳用牛群における乳房炎用多価不活化ワクチン(スタートバック)の使用効果」と題して、一農場における調査結果を報告した。その農場は経産牛100頭、平均乳量1万2520kg、平均体細胞数11万と好成績を維持している。2018年7月から「スタートバック」を用法・用量どおり(分娩予定45日前、10日前、分娩52日後)接種開始した。ワクチン接種により、細菌検査件数およびバルク乳体細胞数は減少、1日1頭当たり乳量は0.8kg増加した。費用対効果は、乳量増加(100頭ぶん)で年間237万9000円売上増、ワクチン代などで60万円支出、差し引き177万9000円の収入増となる試算を示した。
●クラブシェラ乳房炎でも効果あり
かごしま中部農業共済組合の検崎真司獣医師は「クラブシェラ乳房炎に対するスタートバックの効果と甚急性乳房炎の診断および治療について」と題して、一農場における使用事例を報告した。その農場は経産牛50頭、フリーストール飼養で、通路に敷くモミガラを石灰消毒してもクラブシェラ乳房炎が多発していた。どの季節、どの泌乳期でも発症していたことから、一斉接種(分娩日、分娩後28日目、90日目、その後は90日間隔で追加接種)を2016年10月から開始した。ワクチン接種により乳房炎発生率の低下が認められ、診療費が減少し、出荷乳量は増加し、費用対効果が認められた。
※詳報はDairy Japan 1月号で。
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