一番大切な要素は「誰が育てるか」~三学会が「哺育・育成」の合同シンポジウム~
2015 年 9 月 13 日
北海道畜産草地学会、日本畜産学会、北海道獣医師会は9月12日、酪農学園大学で、「乳用子牛における群管理のポイントと取り組み事例」をテーマに合同シンポジウムを開催した。
「初乳」「ワクチネーション」「哺乳量・濃度」「環境」をキーワードとして、以下の5名が講演し、総合討論で意見が交わされた。
「哺乳子牛の衛生管理と疾病対策」酪農学園大学獣・大塚浩通准教授
「哺乳子牛の栄養管理と寒冷対策」根釧農業試験場・大坂郁夫研究主幹
「データを利用した乳用子牛・育成牛の群管理」(株)シー・ブライト・桐山靖朗代表取締役
「乳牛の預託哺育農場における下痢症の発生要因と予防対策」十勝NOSAI・森山友恵獣医師
「一に栄養、二に環境、三・四がなくて、五に予防」標茶町育成牧場・類瀬光信場長
十勝管内・豊頃町の酪農家(構成員)16戸から哺育・育成管理を受託している(株)シー・ブライトの桐山代表取締役は、導入時の血清TP(総蛋白質)濃度が酪農家ごとで大きく異なること、その血清TPは初乳の種類や量に影響されていること、血清TP濃度が高いと疾病発症率が少なくなることなどを紹介した。
同社は、構成員にデータを開示して、自分の子牛の血清TPが、ほかの牧場の子牛と比べて高い・低いがわかるようにしている。
北海道最大級の受託頭数を誇る釧路管内・標茶町育成牧場の類瀬光信場長は、シュガースポットの出たバナナを裏ごししてペットボトルで冷凍保管しておき、子牛の調子がすぐれないときにミルクに溶いて飲ませると効果的であること、バナナ粉末入りの代用乳を利用していること、育成牛用TMRには納豆菌を混合していることなどを紹介した。
子牛を育てるうえで一番大切な要素は、「誰が育てるか」に尽き、その人は、決められたことをやり通す意志の強さと、生命を愛しむ心がなければならないと語った。
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