道民総決起大会:オール北海道でTPP交渉への参加反対

2010 年 11 月 12 日

Filed under: — djito @ 7:01 PM ニュース

原則100%関税撤廃とされるTPP(環太平洋連携協定)の政府対応に対する総決起大会が11月12日、札幌市で開催され、全道の農林水産業界、経済界、消費者団体、行政などから1500人以上が集まり、「オール北海道」としてTPP交渉への参加反対を訴えた。
主催は、「この国のかたち」を問う総決起大会実行委員会(北海道農協中央会、北海道漁協連、北海道森林連)。共催は、道内の第一次産業に関わる団体、道経済連、道商工連、道消費者協会など56団体。後援は、北海道、道議会、道市長会、道町村会。

主催者を代表して、飛田稔章・道農協中央会会長は、「TPPは、わが国の農林水産業、北海道経済に深刻な影響を及ぼし、この国のかたちを一変させるものであり、絶対に容認できない。政府に対し、重要品目の関税を維持するよう強く働きかけよう。それができない貿易交渉は断固阻止しなければならない」と挨拶した。

高橋はるみ・北海道知事は、「本道の農林水産業は、食品加工、流通、観光など多くの産業と緊密に結びついていて、経済を支える地域の基幹産業として大きな役割を果たしている。本道の重要品目であるコメ、小麦、でんぷん、牛乳、乳製品などを関税撤廃から除外するとともに、道民、国民の同意がないままTPP参加を行わないよう働きかけていく」と語った。

坂本眞一・北海道経済連合会副会長は、「日本農業の維持・発展と貿易自由化は、両立できるものでければならない。第一次産業のための具体的な国内対策がない現時点でのTPP参加表明は時期尚早であり、食料自給率50%以上の達成、第一次産業の成長と整合性のとれる対応をとることが必要不可欠である」と語った。

橋本智子・北海道消費者協会会長は、「食の安全・安心を求めて、地産地消運動を進めてきた。第一次生産者とともに、食の安全・安心、食料の自給率の向上を求めて、ともにがんばっていきたい」と語った。

生産現場からの訴えとして、牧清隆・北海道農協青年部協議会会長は、「政府はTPP交渉参加について関係国との協議を開始すると閣議決定した。しかしこれは参加・不参加を先送りしただけであり、依然として参加に向け、前向きな姿勢をとっている。TPP参加は北海道農業と地域社会の崩壊を招くものであり、われわれ将来を担う農業青年の立場として断固反対であり、絶対に認めることはできない」と決意表明を述べた。

オルテック・ジャパン・レクチャー・ツアーin東京、開催

Filed under: — admin @ 2:55 PM ニュース
講演中のスティーブ・ボーン氏

講演中のスティーブ・ボーン氏

 オルテック・ジャパン合同会社は11月11日、東京で「オルテック・ジャパン・レクチャー・ツアーin東京」を開催した。東京の他にも国内各地で行なわれ、9日帯広、15日鹿児島、17日八戸、19日名古屋という流れ。
 本ツアーは、オルテックアジア太平洋地区のマネージャーらによる講演で構成されており、畜産業界において、オルテックが「いかに関与できるか、いかに力になることができるか」ということをテーマに講演が行なわれた。

各演題は、
「イースト・グライコミクス:栄養に新技術を」アンドレアス・コッカー氏
「研究の革命―畜産業界を前進させる技術」アリソン・リアリー氏
「消化器官の健康についての新しい発見―ニュートリゲノミクスとは」アンドレアス・コッカー氏
「反芻動物の栄養とマネージメント、牛中心のアプローチ」クリス・キング氏
「農場における実践的対策のための科学:i-ソリューション」アリソン・リアリー氏
「オルテック・ヤング・サイエンティスト・プログラム」セルジュ・コーネイリ氏
「価値の提案:私たちにできることを最大化する」スティーブ・ボーン氏
である。
 講演者の詳細はこちらから。

 スティーブ・ボーン氏(オルテック・アジア太平洋地区 副社長)(写真)は「コスト削減、生産性向上から消費者が求めるものを提供したい」とし、セルジュ・コーネイリ氏(オルテック・ジャパン合同会社 代表取締役社長)は「社員一丸となって、お客様に製品の素晴らしさを伝えられるよう説明をし、提供していきたい」とした。

※オルテックアジア太平洋レクチャーツアー
毎年6月に、アジア太平洋地区各国で行なわれている。今年は4月に宮崎での口蹄疫の影響で日本では行なうことができなかった。そこで、今年はオルテック・ジャパン設立記念も兼ねて11月にこのような形で行なう旨に。

明治HD、明治乳業とも増収増益

Filed under: — maetomo @ 10:53 AM ニュース

明治ホールディングス

 明治ホールディングス株式会社(明治HD)は11月11日、本社で平成22年3月期・第2四半期決算短信を発表した。明治HD、乳業ともに連結決算は増収増益だった。
 明治HDの第2四半期連結売上高は5613億円で前年同期と比べ約60億円のプラス。営業利益(175億円、40億円プラス)、経常利益(191億円、57億円プラス)、純利益(93億円、39億円プラス)もそれぞれ大幅に伸張し増収増益だった。
 乳業では牛乳類の売上が584億円で前年同期に比べ1.8%マイナスしたものの、ヨーグルトやチーズ、アイスクリームが前年を上回ったことなどから3735億円、前年比43億円、1.2%増の増収となった。

酪農部門最優秀賞に岐阜県・大井牧場が輝く

2010 年 11 月 8 日

Filed under: — maetomo @ 7:10 PM ニュース

中央畜産会 全国優良畜産経営管理技術発表会

 社団法人中央畜産会は11月8日、都内で平成22年度全国有料畜産経営管理技術発表会を開催。酪農部門4事例を含む12事例が日ごろの経営成果を発表した。最優秀賞(農林水産大臣賞)に選ばれたのは酪農1事例、肉用牛一貫経営1事例、養豚経営1事例、採卵鶏経営1事例が選ばれた。酪農部門で最優秀賞を受賞したのは岐阜県・大井牧場の大井幸男さん。
 大井さんは平成元年にUターン就農して以来、売上高倍増を目標に酪農経営を進めており、昨年は経産牛63頭で6700万円を売り上げた(就農当時は約3000万円)。また、牛群検定へ登録し、大家畜データベースを活用したデータ酪農の取り組みや作業のマニュアル化などが高く評価された。

猛暑でアイスクリームが好調

Filed under: — maetomo @ 6:46 PM ニュース

森永乳業

 森永乳業株式会社は11月5日、東京本社で平成23年度第2四半期決算短信を発表した。発表によると同社同期の決算は営業利益・経常利益ベースで増収増益だった(15億円増収)。一方、純利益は有価証券の評価損が響き、16億7000万円の赤字だった。
 部門別売上成績はPB商品の半減や成分調整牛乳の微減などで牛乳類で前年同期比95.1%、口蹄疫による中国需要の停止によって粉乳事業は96.6%だった。対してアイスクリーム類は猛暑の影響で106.9%と好調だった。
 同社の今年度前半の集乳量は前年同期より1万2000t低い42万tだったが、今後の見通しについて「前半同様の推移が見込まれる」とし、後半に生乳需要が盛り返す可能性は低いとした。その理由として、猛暑の影響で生産が減少したことや消費に寄与する要素が少ないことなどをあげた。

戦略的投資で新基幹施設を建設

Filed under: — maetomo @ 6:37 PM ニュース

雪印メグミルク

 雪印メグミルク株式会社は11月5日、東京本社で平成23年度第2四半期決算を発表。22年度に統合したと仮定した場合の連結決算と比較し、増収増益となった。
 同社は昨年10月の経営統合後、3年以内の合併を表明していたが、外部環境の厳しさが増してきたことや統合シナジーの早期最大化を実現するために、予定よりも早い23年4月1日の合併(現事業会社2社との吸収合併)を発表した。
 会見で高野瀬忠明代表取締役社長は事業基盤の強化のための戦略的投資として、「効率的生産物流体制の構築」を進めると話し、茨城県稲敷郡にプロセスチーズとマーガリン類の基幹工場を新設する考えを明らかにした。また、同基幹工場の稼働に合わせて、現在稼働中の横浜チーズ工場、関西チーズ工場、厚木マーガリン工場の3工場を閉鎖するとも発表した。
 合わせてカテゴリーNo.1戦略を推進するために、大樹工場に「さけるチーズ」新棟の建設と海老名工場(市乳)におけるプレーンヨーグルト生産能力の増強を図ることも明らかにした。
 これらの戦略的投資額は合計528億円に上り、中期経営計画に盛り込んだ800億円の多くが設備投資に向けられる。

アニマルウェルフェアの取り組みは自由貿易から守ることにもつながる

2010 年 11 月 7 日

Filed under: — djito @ 8:25 AM ニュース

農業施設学会、日本家畜管理学会、応用動物行動学会の三学会合同シンポジウム「畜産におけるアニマルウェルフェアの実際」が11月5日、北海道江別市の酪農学園大学で開催された。

講演会として、
「畜産におけるアニマルウェルフェアに関する国内外の状況」佐藤衆介教授(東北大)
「管理者に対する牛の恐怖の軽減」小迫孝実科長(畜草研)
「生産獣医療の中でのアニマルウェルフェアの位置づけ」岡田啓司准教授(岩手大)
「正常行動の発現を保障する飼育環境」竹田謙一准教授(信州大)
「快適牛舎における施設構造」高橋圭二教授(酪農学園大)
が行われた。

総合討論では、近藤誠司教授(北海道大)が座長を務め、アニマルウェルフェアの国際的な普及、繋ぎ飼いについてなどが話し合われた。
国際的な普及については、OIEが現在、各国の意見を聞きながら国際基準をまとめており、2011?2012年に肉牛とブロイラーについて発表される予定。
その国際基準よりレベルが低ければ、レベルの高い国から酪農・畜産製品の輸入を迫られる可能性が出てくることも考えられ、「ハイレベルにすることが日本の畜産を守ることにつながる」などの意見が出た。

繋ぎ飼いについては、「最近の繋ぎは自由度が非常に高い。それを拘束ととらえられると困る」「あくまで五つの自由から総合評価される」などの意見が出た。

「五つの自由」とは、
1 飢えと渇きからの自由
2 疾病や怪我からの自由
3 不快環境からの自由
4 正常行動を発現する自由
5 恐怖や苦悩からの自由
で、アニマルウェルフェアは、それらの総合評価で判断される。

なお日本では、3月に畜産技術協会が「アニマルウェルフェアに対応した乳用牛の飼養管理指針」をまとめたが(Dairy Japan 8月号参照)、さらに来春には「乳用牛アニマルウェルフェア総合評価法」がまとめられる。
この評価法は酪農家自身が客観的にチェックできるもので、「五つの自由」を軸とし、「施設」「管理」「動物」の三つのベースから評価するもの。

コントラ・TMRセンター組織の支援こそ必要な補助事業

2010 年 11 月 5 日

Filed under: — djito @ 8:43 AM ニュース

北海道TMRセンター連絡協議会は11月4日、札幌市で研修会を開催し、会員および関係者など約220名が参加した。

今回の研修会テーマは「農政転換期を迎えた自給飼料型畜産の将来展望」で、鈴木宣弘氏(東京大学大学院教授)が「新酪肉近とわが国酪農政策の展望」と題した基調講演を行なった。

鈴木氏は、新酪肉の最大のポイントは「輸入飼料への依存体質から脱却」であるとし、今まで自給飼料生産が増加してこなかった理由として、自給飼料型経営は1頭当たりの所得は高いものの、頭数を増やせないので総所得が増えないことを指摘した。
そして、そこを覆すためには、コントラクターおよびTMRセンターなどが不可欠であること、また、それらの組織を支援する補助事業の必要性を強調した。

さらに、今後の政策の根幹を揺るがすものとしてTPP(環太平洋連携協定)にも触れ、「TPPに参加して乳製品がゼロ関税になれば、内外価格差を補償する財源はなく、日本の酪農はほぼ壊滅する」と警告した。
また、「農業側の反対によって国益が損なわれるという論調はおかしい。それには反論していかなければならない」と語った。

その後、岡田直樹氏(根釧農試)をコーディネーター、鈴木氏、原仁氏(十勝農試)、近藤三男氏(同協議会会長/オコッペフィードサービス)、佐々木二郎氏(同協議会理事/浜頓別エバーグリーン)をパネラーとして総合討論が行われた。
そのなかで、TMRセンター運営の課題として、作業機械の更新費用、機械更新のための財源を内部留保すると多額の法人税がかかること、個々の農場の技術向上、野生鳥獣害が自己防衛の限界を超えていることなどがあげられた。

北海道TMRセンター連絡協議会 役員改選

2010 年 11 月 4 日

Filed under: — djito @ 10:07 PM ニュース

北海道TMRセンター連絡協議会は11月4日、札幌市で第5回総会を開催した。
そのなかで任期満了に伴う役員改選が行われ、8人体制から9人体制に増員し、以下のように決まった(敬称略)。
会長 近藤三男(オコッペフィードサービス)再任
副会長 佐竹敦(デリバリーフィードセンター名寄)再任
理事 山本利浩(サンタドリームサプライ)再任
理事 佐々木二郎(浜頓別エバーグリーン)再任
理事 長渕重樹(中標津ファームサービス)再任
理事 野々村仁(CFT)新任
理事 菊地厚(アグリサポートばろう)新任
監事 倉地茂(八雲フィードデザイン)再任
監事 横田純一(デイリーサポート別海)再任

バイオガスプラントの可能性:日本畜産環境学会会誌Vol.9 No1

2010 年 10 月 27 日

Filed under: — admin @ 4:21 PM ニュース

日本畜産環境学会(事務局:東北大学)はこのほど、
「同学会誌Vol.9 第1号」を発行した。

同会誌の総説で「バイオガスプラントが低炭素社会の一員になるには」と
題し、土木研究所寒地土木研究所 寒地農業基盤研究グループの
石田哲也主任研究員は、
北海道東部の別海町における乳牛ふん尿を主原料とする
バイオガスプラントの「プロジェクト研究結果」を解説している。

それによると、共同利用型の大規模メタン発酵施設の可能性は
設計通りに順調な稼動をしていることが前提であり、
低温対策が重要。
家畜排せつ物のみの受入・処理では経営収支はマイナスとなり、
消化液などの販売で運転資金を捻出する必要がある。

また、道内のバイオガスプラントは、建設総数47基のうち
現在も稼動を継続しているのは30基(全体の64%)であるが、
安定稼動であれば、地球温暖化やエネルギー問題に貢献できる
可能性を有している、としている。

なお同会誌には、「人工湿地による搾乳関連排水の浄化」、
「3槽越流式沈殿槽による搾乳関連排水の浄化」(ともに猫本健司氏ら)
などの論文が載っている。

*関連書籍「もっと知りたい環境対策」デーリィジャパン2010年10月増刊号

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