経産牛160頭を飼養する十勝管内のKさん。
Kさんの頭の中には、経産牛1頭1頭の姿が焼き込まれています。
番号を聞けば、その牛の姿が頭に浮かぶし、その逆も同じで、遠くで発情があっても、それは何番の牛か即、答えられます。
乳検のときは、牛を見た瞬時に番号を検定員さん伝えることもできます。
その理由については、「覚えようと思って覚えたわけではなく、自然と頭に入るんです。牛が好きなことは間違いないけれど…」とKさんは笑いながら首を傾げます。
ちなみにKさんは、暗算も強いそうです。
昨日の「DJニュース」にある公開シンポジウム「地球の生命(いのち)を育む土」の基調講演の一つ、「食料生産と環境・生態を調和させる未来の自立型農業」大崎満氏(北海道大学教授)は、「今までどおりの農業を行なっていると、2030年(20年後)には、農業所得が20%減少することになる」と警鐘を鳴らしました。その大きな理由は、化石燃料の枯渇(石油価格高騰)です。
そして、「バイオマスを徹底的に利用すれば所得は今より10%増え、さらにCO2排出量を50%削減できる可能性もある」ことも紹介しました。
また同氏は、「2030年北海道農業自立への条件は、農村地域のバイオマス徹底利用システムの構築、都市-農村連携による有機物・エネルギー補完とサービス補完である」と提言しました。
弊誌は目下、10月増刊号「もっと知りたい環境対策-糞尿を宝にし、搾乳排水を浄化する」を編集中です(10月5日発売)。
そこでも、「クリーンエネルギーとしてのバイオガス利用の実用・普及」「北海道・興部町のバイオガス・プロジェクトの内容と期待」など、キーワードを同じくする記事が盛り込まれています。
お楽しみに。
広大な牧草地が広がる北海道根室管内の別海町。
そのなかに、ひときわ緑色が濃い牧草地が続いています。
近づいてみると、それはなんとアルファルファ(ルーサン)です。
この写真は、昨年に草地更新/播種したアルファルファ混播草地です。
ここを見た人全員が「すごい!」と思わずうなります。
それにしても、この地でアルファルファ栽培は無理だったはず…。
ところが今や、同町ではアルファルファ混播草地がどんどん広がっています。
かつての常識を覆すこの事実。
そこにはアルファルファの地道な品種改良と、良質な粗飼料確保に熱い情熱を注ぐ4人の酪農家(北矢ケレス友の会)の挑戦と試行錯誤から始まりました。
詳しくはDairy Japan10月号で。
「根釧パイロットファームの光と影」という本が発刊された(北海道新聞社)。
著者は芳賀信一氏。
根釧パイロットファーム入植者の一人であり、根釧パイロットファーム開拓農協理事、中春別農協組合長理事を務められ、そして天皇杯を受賞されたことでも知られる方だ。
ロマン、希望、挫折、悪夢、再建…本のタイトルにもあるように「光と影」で知られる根釧パイロットファーム。
著者は、国家の一大事業の渦中に生きた農民の一人として、そのなかで経験した「光と影」を極めて冷静に振り返り、綴っている。
現場と机上計画のギャップ、機敏な計画修正の必要性、現場から声を発することの大切さ、仲間の尊さ等々、酪農において今も忘れてはならない事柄が各頁から読み取れる。