誰でも一目でわかる

釧路管内の牧場Tは、設立当初から「乳質向上」に注力しています。
その一環として、バルクに入れてはならない(別搾り)牛または分房を、「誰でも一目でわかるようにしておく」という工夫を施しています。
それは、牛の後ろ足に以下の目印を付け、パーラーに牛が入ってきたときに一目瞭然というものです。

〇赤色ガムテープ=抗生物質治療牛(ホスピタル群にしかいない。バケット搾乳する)
〇緑色ガムテープ=クォーターミルカー搾乳牛(前乳房が対象)
〇黄色ガムテープ=クォーターミルカー搾乳牛(後乳房が対象)
〇青色ガムテープ=盲乳のある牛
〇ピンク色とオレンジ色のリボン=SA牛(ホスピタル群にしかいない。ディッピングはピンク色とオレンジ色のリボンの付いた容器で)
〇オレンジ色リボン=搾乳速度の遅い(渋い)牛(パーラーに入ってきたら直ちに乳頭刺激、ミルカーの離脱は手動で)

なお、搾乳前に5分間程度のミーティングを行ない、新しく加わった要注意牛などを確認し合います。

※詳報は、近日発売のDairy Japan 2月号で。

わかりやすく伝える

搾乳衛生なくして良質乳なし――釧路管内の牧場で、この標示を見て、改めて思いました。
それと同時に、時代は変われども、ルールを正確に伝えて順守してもらうためには、この方法が最良であることも改めて思いました。

大事なことを、わかりやすく、正確に伝える――Dairy Japanは来年も、それを大切にしていきます。
皆さま、良いお年をお迎えください。

家族経営と畜産クラスター

「家族経営を大切に」をモットーとする十勝管内K牧場は、労働時間を少しでも減らすための牛舎システム導入や生産体制構築に日々取り組んでいます。

そんなKさんの一言です。
「酪農は土・草・牛と幅広い。それゆえ現代の家族経営を永続させるためには、ある程度は外部委託が必要であることは周知のとおり。1kgの生乳を生産するのに、どれだけの知識・技術・作業・人が関わっていることか。畜産クラスターの真髄はそこにある」

自由貿易が進められていくなかで、畜産クラスター事業が、家族経営の継続のためにもっと活用されるように、という想いがあってのことです。

繁殖成績を改善するとこんなに儲かる!

10月17日付けDJニュースで触れた、第75回北海道家畜人工授精技術研修大会の特別講演「繁殖コントロールの実際」で、石井三都夫獣医師(石井獣医サポートサービス)は繁殖改善効果をインパクトのある金額(儲け)で示しました。
そして、そのための成績目標、さらにその目標達成のための方策としてボディコンディションの重要性について詳しく解説しました。

●年間2476万円の儲け
経産牛120頭飼養で、空胎日数を155日から120日に短縮し、初産分娩月齢を25.5カ月から23カ月に短縮したとしたら、1年間で以下の収入増になると試算される。
・個体販売価格の増加で1260万円
・飼養経費の損失防止で625万円
・乳量増加分で591万円
合計2476万円

●繁殖成績の目標
・分娩間隔400日
・空胎日数120日
・初産分娩間隔23カ月
・平均産次3産
・21日妊娠率25%
・120日妊娠率50%

●なぜボディコンディション・スコア(BCS)は大事か
・アーリーフレッシュチェック時(分娩後7~13日)のBCSは、120日妊娠率および空胎日数に影響している。
・フレッシュチェック時(分娩後14~27日)のBCSは、卵巣状態、120日妊娠率および空胎日数に影響している。
・妊娠鑑定時のBCSは、妊娠+率に影響している。

●BCSおよびBCS適正率
・BCSは分娩後~受胎まで適正に保つことが重要
・BCS目標は、分娩時3.5、繁殖牛3.25、妊娠後期3.25~3.5、乾乳牛3.5
・BCS適正牛率(3.25~3.75)は目標90%以上
・BCS3以下はハイリスク牛なので早めに対処し改善する
・BCSが下がっている間は受胎しづらい
・BCSが上がり基準で授精した牛は受胎しやすい