エネルギー利用効率を高める新アプローチ MPアグロ・バイエル薬品

2017 年 5 月 16 日

Filed under: — djito @ 7:08 PM セミナー報告

MPアグロ・バイエルセミナー

MPアグロ株式会社バイエル薬品株式会社は5月16日、帯広市で「酪農栄養セミナー2017/ルーメン機能を最大限に利用する飼養管理」を開催し、酪農家はじめ普及員、獣医師、関係機関職員など約50名が参加した。
セルジオ・カルサミグリア博士(バルセロナ大学教授)は「乳牛を取り巻く問題へのチャレンジ」と題して、暑熱ストレス時の飼養管理、高泌乳牛へのエネルギー供給について解説した。
エマ・ウォール博士(パンコスマ社研究開発部)は「乳牛のパフォーマンス・乳質改善への植物性抽出物の利用」と題して、植物由来成分の飼料添加効果を解説した。

カルサミグリア博士の講演より
暑熱ストレス対策として最新の栄養学的アプローチは、1.水とpH、2.NDFレベル、3.油脂、4.蛋白質給与、5.ミネラル調整、6.乾物摂取量の六つがあげられる。
その内容は、飲水量を増やしてルーメン内pHを緩和する。NDFレベルを35~37%に上げてルーメンアシドーシスを緩和し乳量を増やす。NDFを増やした代償として非発酵エネルギー源の油脂を利用する。分解性蛋白質を減らして代謝蛋白質と必須アミノ酸に基づいて設計する。ナトリウム含量を0.4~0.5%に、カリウム含量を1.6~1.8%に増やし、マグネシウム含量を0.35~0.4%にする。トウガラシ抽出物(エクストラクト ルミナント)で乾物摂取量と乳量を増やす。
高泌乳牛へのエネルギー供給は、いかに多くのグルコース源(デンプン)を与えて効率良く吸収させるかがポイントである。多くのグルコースを吸収するためには、ルーメン内で分解されるデンプンと、小腸・大腸で分解されるデンプン(バイパスデンプン)の両方を考慮する。具体的には、単味の穀類は処理方法(粉砕、フレークなど)を吟味する。コーンサイレージはデンプン分解性を改善するためにミルクライン3/4時期に収穫してクラッシュ処理する。
吸収されたグルコースからプロピオン酸の産生を増やす(酢酸を減らす)ことが生産効率を高めることになる。それを可能にしたのがクローブとシナモン抽出物(エクストラクト ルミナント)である。
さらにトウガラシ抽出物は、固め喰いを減らし採食時間を増やすという行動の変化をもたらし、ルーメンアシドーシスのリスクを緩和する。

※詳報はDairy Japan 7月号で。

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