アウトサイダー化と指定団体制度を議論 北海道農業経済学会シンポジウム

2015 年 10 月 17 日

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HT北海道農業経済学会シンポS

北海道農業経済学会は10月17日、酪農学園大学で、「岐路に立つ地域農業–生乳流通の新展開を手掛かりに–」と題したシンポジウムを開催した。4名が報告講演を行なった。

●アウトサイダー化の背景と今後
清水池義治氏(名寄市立大学・准教授)は「指定団体制度下の生乳流通による市場成果と今後の可能性」と題して、現行の共販制度、需給調整、生乳の取引・価格交渉などについて、メリットとデメリットを解説した。
また、最近のアウトサイダー化の背景(ホクレンのプール乳価より高い乳価を得たい、乳業メーカーとの直接提携強化、生産者ブランドの展開)、アウトサイダー化の今後と評価を説明した。
際限ないアウトサイダー化は考えにくいながらも、アウトサイダー化の市場占有率が一定水準まで高まった場合、指定団体加入によらない補給金交付制度へ変更や、生乳計画生産の廃止につながる可能性もあることを示唆した。

●大規模経営は効率が決め手
三宅俊輔氏(道総研・十勝農業試験場・研究主任)は「根釧地域の酪農家経済の動向と発展の条件」と題して、生産規模と効率の関係、生産効率に関わる大規模経営の特徴などを報告した。
大規模経営においても再生産に課題を抱える経営があること、大規模経営の再生産については規模よりも効率による影響が強いことなどを解説した。
そして、規模拡大のメリットを生起できていない経営があるものの、上位層の経営は生産効率が高く、経産牛管理が良好であることを示した。

●自主流通(アウトサイダー)の台頭
茂木修一氏((株)MMJ・社長)は「北海道における生乳調達のメリットと背景」と題して、自主流通のネットワークを構築しているMMJの設立経緯とこれまでの歩み、大規模経営を直撃した平成18年の生産調整の実態などを解説。
MMJの方針は、「酪農家に第二の販売手段を提供すること。生乳を購入する乳業界に第二の仕入先を提供すること。これを続けることにより、自由な生乳流通ネットワークを実現し、将来業界を担うであろう酪農と乳業をつなぐ活発な自由市場を提供することである」と語った。
さらに、北海道産生乳は中国、ベトナム、インド、台湾などから引き合いが強く、アジア進出を準備していることを報告した。

●5年先を見通しながら対策を講じてきた
石橋栄紀氏(浜中町農協・組合長)は「地域農業の発展と一元集荷体制の課題」と題して、浜中町農協のこれまでの取り組みと成果を報告。
酪農継承には優秀な人材確保が最大の課題であり、優秀な経営者を育成する体制を整備してきたこと、5年先を見通しながら対策を講じ、新規就農(家族および法人)を促進してきたこと、また消費者に選ばれる生乳生産を目指して実現してきたことを紹介した。
そして、「農業が地域の核になって、農協は地域作りのコーディネーターになる時代に入った」と語った。

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