先代達の命・涙・汗が今の酪農を潤している 北海道畜産草地学会シンポジウム
2019 年 8 月 26 日
第8回北海道畜産草地学会が8月25日から3日間、札幌市で開催されている。
初日に企画されたシンポジウム「温故知新~北海道の酪農畜産の持続的発展を目指して~」には100人超が参加した。
「最新技術が期待されている今、北海道酪農の歴史を振り返り、何が必要なのかを考えたい」と座長の大下友子氏(北海道農業研究センター)が挨拶し、基調講演1題、話題提供3題、そして総合討論が行なわれた。
●二等乳、ケトーシス、サイレージ普及促進
名久井忠氏(元・酪農学園大学)が「北海道の土に根差した酪農の移り変わり~第二次世界大戦後70年の発展と課題~」と題して、明治から現代までの北海道酪農の変遷を基調講演した。
1950年代では粗放な輪換放牧により二等乳が多発したこと、1960年代ではサイレージへの期待が高まったが劣悪な品質からケトーシスが多発し敬遠されたこと、1970年代では北農試が中・低水分サイレージの有用性、根釧農試が高水分サイレージの多給効果などを明らかにして普及促進したことなどのエピソードも紹介した。
さらに30年先の北海道酪農への期待として、次の世代へ農村文化をつなぎ持続可能な農村振興、耕畜連携の強化と地力培養、集約放牧による放牧酪農の再構築、世界への輸出を視野に入れた畜産物の生産、を提案した。
最後に「先代達が命を削って働いて、涙と汗で築き上げた遺産が今日の酪農家達を潤している。私達はこのことを忘れてはなるまい」と語った。
その後、林拓氏(酪農試験場)が「草地・自給飼料作研究最前線」、三谷朋弘氏(北海道大学)が「北海道における乳牛飼養最前線」、古川研治氏(十勝農協連)が「酪農経営の持続的発展に向けた生産現場の取り組み」と題して話題提供した。
※詳報はDairy Japan 10月号で。
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