子牛に手をかけると良いことだらけに 十勝子牛研究会

2019 年 5 月 20 日

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十勝子牛研究会

十勝子牛研究会(石井三都夫会長)は5月18日、帯広畜産大学で本年度1回目の勉強会を行なった。
十勝管内大樹町の酪農後継者である山下陽子さんが「活躍する初産牛は子牛から」、NOSAI道東 釧路中部センター 弟子屈診療所の茅先秀司獣医師が「飼養管理から見直す乳用子牛の疾病対策事例」と題して講演した。

●子牛の対策だけで初産牛の繁殖成績が改善された――山下陽子さん

数年前に実家に就農して、大学で学んだことと現状のギャップを痛感。後継初心者ができることとして繁殖管理の改善に取り組んだものの、初産牛の受胎が遅く、体格も小さいことが判明。そこで大きい初産牛にするための作戦を練り、3カ月齢までの栄養供給を高めることに。スターター給与期間を延長し、かつ1頭当たり粉ミルク使用量を増やす取り組みを開始した。
その結果、発育スピードが大きく向上し、以前は548kgだった初産分娩時体重は587kgに増え、バラツキも少なくなった。さらに124日だった初産牛の空胎日数は94日に短縮し、経済面でも大きく貢献できた。それにより子牛の対策だけで初産牛の繁殖成績が改善されることを実感。生後1日目(分娩・初乳の管理)と3カ月齢までの管理で、その牛の将来が決まることを認識した。
子牛に手をかけると良いことだらけで、子牛増頭、牛群が揃う、乳量アップ、長命連産、労働軽減、過密解消、規模拡大……等々がかなっていく。

●規模拡大に伴い子牛の疾病が多発、その対策とは――茅先秀司獣医師
総飼養頭数を1年で330頭から670頭に規模拡大したところ、子牛の死廃率が21%となってしまった酪農場の対策に取り組むこととなった。
集団飼育群(30日齢~育成前期)の対策として、飼養密度を減らすこと、哺乳ロボットの保守点検(粉ミルク投入口の詰まり落とし、チューブの定期交換、ホース洗浄、洗浄剤の補給など)を実施した。
個別飼育群(カーフペン、30日齢未満)の対策として、哺乳作業の見直し、哺育環境のリセット(哺育場所の変更)、十分な免疫グロブリンの投与(最低150g)、発酵代用乳の添加、寒冷対策(DM増、高カロリー代用乳)を行なった。
その結果、FPT(免疫移行不全)は減り、消化器・呼吸器病をコントロールすることができた。
現在は分娩時対策として、乾乳・分娩施設での飼養密度を減らすこと、分娩房の管理、分娩監視体制の確立(人員、機械など)を課題としている。

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