涼し気な散水

お盆を過ぎても暑い日が続きます。いまや、現場仕事をされる方々にとって空調服は標準装備のようになり、都内のコンビニエンスストアでも空調服を着た方をよく目にします。最近では水冷服と呼ばれるより冷却能力の高い服も販売されているようです。

さて、写真は先月お邪魔した牧場での一コマです。暑熱対策に悩むKさんが毎日取り組むのは牛舎前のアスファルトと牛舎屋根への散水です。たっぷりの水を屋根にかけると、牛舎内の温度が少々低下するようです。そして灼熱のアスファルトを冷やすことで、牛舎に入る空気の温度を下げる効果があるとか。青空の下で散水する姿はとても気持ちよさそうでした。

しかし灼熱のアスファルトに熱を奪った水に触れてみると、驚くほど熱い!どれほどの熱エネルギーがあるのかと思い知らされました。

この木なんの木?

こんにちは。

お盆も明け、暑さも和らいでくると期待していたのですが、そんはずもなく連日暑い日が続いております。それに加え首都圏では連日のゲリラ豪雨による予測できない雷雨で交通機関などにも影響がでております。
皆様、お気をつけてお過ごしください。

さて、今回は茨城県のM牧場を取材した際の一枚です。

この葉はアカシアの木の葉っぱです。
取材時の気温は30度を超え。とても暑かったのですが、牛舎を囲むように連なるアカシアの大きな枝と葉によって作られた日陰で牛舎の周りはとても涼しいと感じました。
増頭で牛舎を移動する際に数本のアカシアの木を現在の牛舎に移設し、現在の牛舎でも数を増やしていったそう。
アカシアは表面温度が低く、熱を吸収してくれる効果もあり、調べてみるとコアラは夏の暑い時期にはユーカリではなくアカシアの木を選んでしがみついていることが多いそうです。

こうした何気ない環境が暑熱対策にもつながっていると感じた取材でした。

通路を傷めずらいスクレーパー

先日訪れた

 

先日お邪魔したK牧場で発見したものです。

 

タイヤスクレーパー。

ローダーでの除糞の際に、金属のスクレーパーだと床面を削ってしまい、コンクリートの寿命が短くなってしまう恐れが。
溝を切ってある場合なども、溝の減りが速くなることも考えられます。

そういう背景から使用しているのが、タイヤを半分に切ったものを加工したスクレーパーでした。

海外の大きなトラックの廃タイヤなどを輸入して加工しているそうです。
確かにその辺ではまず見かけないサイズのタイヤで驚きました。

 

事故防止の一工夫

連日、うだるような暑さが続き体内の温度センサーが麻痺してきたのか、「最高気温32℃」という数日後の予報を見ると「涼しいな」と感じてしまうことが悔しいこの頃です。牛にとっても「耐え難い暑さ」で、いく先々で「暑熱対策にもっと力を入れたいけど、ここまできたらどう対応していいかわからない」と皆さま頭を悩ましています。オフィスのような快適な環境を提供できれば良いのですが……。

さて、先日お邪魔した愛知県のD牧場での1カットを紹介します。

牛舎の柱の赤色灯(パトランプ)がくるくると回っている様子を見かけて、牧場主にその理由を聞いてみました。D牧場はフリーストール牛舎。通路はローダーで除糞します。除糞された糞尿はバーンクリーナーを使って牛舎外に運ばれます。通常、バーンクリーナーの上には転落防止のために蓋が置かれていますが、当然除糞時にはこの蓋が外されます。農場内には、除糞以外にも作業スタッフがいますから、事故のリスクが高くなるわけです。
そこで、バーンクリーナーの稼働と同時にパトランプが回転するようにし、視覚的に危険を知らせるようにしたそうです。
農場にはこのほかにもリスクはたくさんあります。皆さんはどのようなリスクマネジメントをしていますか?

酪農って正解がない気がする

[酪農って、正解がない気がする]

最近よく思うことです。例えば哺育管理。
先日訪問したとある農場では、「うちは母牛の初乳は一切使わず、全て代用初乳。子牛が生まれ落ちた瞬間から、いかに菌に曝さずに初乳を届けるかが勝負。しかし、無理に早く給与しても良くないので、可能な限り衛生的で乾燥した環境を提供し、菌を入れないことに注力する。哺乳ボトルも、使い捨ての内袋の中で代用初乳を作り給与することで、洗浄時の菌残りなどを阻止する。とにかく衛生環境のための手間と費用は惜しまない」というスタイルでした。もちろん、子牛の事故率、増体ともに優秀でした。

一方で「衛生的かつストレスフリーに使用できる環境に十分な投資を行なった。だからこそ、母牛の初乳や、移行乳での哺育管理ができるようになった。代用初乳を辞め、通常哺乳は移行乳を使用するため粉ミルク代は大幅削減。ランニングコストの低減につながった」という農場もありました。もちろんこちらも、事故率、増体ともに優秀でした。

両農場とも方法は違えど、結果は似ている。ただ、根本の考え方は両者とも「子牛にはできる限りの衛生的でストレスフリーな環境を」というものがありました。
改めて、だからこそ酪農は奥が深いし、これだけたくさん取材をしてもいつも新鮮に聞くことができるのだと実感しました。