初乳は初生子牛のみに給与するものではない:DairyJapan9月号

【初乳は初生子牛のみに給与するものではない】(DairyJapan9月号p55)

初乳といえば、まず思い浮かぶのは、生まれてすぐの子牛に、給与して、母牛から子牛への免疫移行を確実に行なうためのものですよね。これは、健康な子牛を、さらには成牛になった後も健康に育つために重要な一歩です。

しかし最近は、初乳でさらに多くの成果を期待できるのではないか?ということが、研究をとおしてわかってきました。今回は、その答えにつながる情報を紹介していきます。

出生直後の子牛がIgGを吸収できるのはおよそ24時間と言われています。その期間以降に初乳を給与するのは何故なのでしょう?

ある病原体から攻撃を受けたときに、それに対処するためにIgGが腸管内に際分泌されます。すると、別の病原体が来たときに、対処できるIgGが少なくなります。初乳を継続給与することで、腸管内にIgGを継続的に補給でき、より体を護るために役立つとのことです。

それだけではありません。初乳中には子牛の健康に好影響を与える成分が数多く含まれています。

感覚的には、初乳給与後に母牛の移行乳を子牛に飲ませる行動に近いものがあります。しかし現実的に難しい場合もありますので、代用初乳粉末を使用すると、IgGなどを補給できて良い。ということです。

抗生物質使用に対して厳しい視線が集まるようになった今、予防的に初乳の継続給与をするのも選択肢の一つではないでしょうか?

DairyJapan9月号はこちら

 

 

乳牛の消化管ツアー:DairyPROFESSIONAL21

【乳牛の消化管ツアー】(DairyPROFESSIONAL22 第1章より)

先日発売した臨時増刊号DairyPROFESSIONAL21では、「乳牛の消化と吸収」をテーマに編成。

改めて消化とは?という内容から始まります。皆さんの農場では、給飼したエサはどの程度消化されているでしょうか?

ほとんどが糞として排せつされてしまっていてはエサをあげる意味がないですよね。消化率、TDNを正しく理解することで、効率の良い給飼が実現できます。

続いて、牛が食べたものはどのように消化されるのか解説。咀嚼、反芻、消化する過程を改めて理解し、飼養管理や給飼に役立ててみてはいかがでしょうか。

DairyPROFESSIONAL21はこちらから

うちの牧場はどうして手元に現金が残らないのか?:DairyJapan9月号

突然ですが皆さん「儲かっていますか?」

そう聞かれてどのように答えるでしょうか?
そもそも「儲かっている」とはどのような状態なんでしょうか?

経営について考える場合、第一に「儲かっている状態」をイメージすることが重要なんだそうです。儲けには、さまざまな種類があります。利益なのか、牧場で投資できるお金なのか、家計で使えるお金なのか、目的をはっきりさせることで、今後の収支・投資の計画が立てやすくなります。

次に、「手元にお金がない場合」に、どうれば良いのでしょうか。見直すポイントを見極めることが重要です。単に出荷乳量を増やせばいいのでしょうか?配合飼料の増給や緊急的な導入をしてしまうと、かえって損失を増やしてしまう可能性もあります。

適切な「お金の使い方」は何なのでしょうか。お金の使い方には4種類あります。収益を上げる投資?上げない投資?緊急?そうでない?
それぞれに当てはまる支出を見極める必要があります。

酪農経営は土づくり、草づくり、牛作りが基本ではありますが、最終的には現金ベースでの「儲け」を考えてみると良いようです。

是非、一度考えてみてください。

月刊誌DairyJapanの購読はこちら

コンポストバーンで牛を健康・快適に:DairyJapan9月号

DairyJapan9月号、「バーン改善で牛を健康・快適に」(p.20より)

牛床管理に悩んでいたルーズバーン牛舎がコンポストバーンを導入し、さまざまな問題が解決した事例を紹介しています。

この農場では、過去に起きた乳房炎、蹄病、乳量の減少などのトラブルがバーン由来と考えられ、コンポストバーンを導入し適切に運営することに挑戦しました。

搾乳群のバーンメンテナンスは、採食通路、移動通路の除糞→水分調整用の資材(間伐材)を全体に散布→ロータリー攪拌というサイクルです。コンポストバーンで良い管理をするのに重要なのは、適切な敷料使用、飼養密度を保つことだということです。

改善後、牛達はゆったりと寝れるようになり、以前とは大きな差が。改善後、バーンの状態と細菌数などを調べ、水分、C/N比、pH比を示しています。間伐材チップがバーンに対してどのような働きをするのか、どの程度堆肥化されているのかを提示。乳牛の状態については、乳房炎、蹄病、乳量すべてにおいて良くなっています。これらについての詳細は本誌にてご紹介します。

牛床で悩みを抱えている方、チェックしてみてください。何かのヒントに出会えるかもしれません。

DairyJapan9月号はこちらより

周産期の胎子の状態と胎子死の予防策:お気酪獣医「クスリ(笑)の処方箋」

周産期の事故を防ぐことは酪農経営において重要な課題ですよね。

妊娠260日~生後48時間の子牛の事故は周産期胎子死と呼ばれています。そんな事故を防ぎ、適切に管理するにどうしたらよいのでしょう?

まずは周産期における子牛の状態がどのように変化するかを把握する必要があります。子牛は、280日間胎内で成長し、開口期、陣痛期を経て娩出されます。

特徴として、高体温、高心拍、早い呼吸などがあげられます。分娩時は、胎子も注意しながら、親牛も分娩しやすい体勢をとらせてあげると良いようで、「胸骨座位」が推奨されています。

次に事故につながる要因を知る必要があります。周産期胎子死の原因は、部分娩前、分娩、分娩後それぞれに分かれています。分娩中の早産、難産、分娩後の低酸素症、アシドーシス、低体温症などがあり、それぞれ打てる対策も変わってきます。

難産を経験してしまうと、低酸素症→アシドーシス→低血糖→低体温症等負のスパイラルに陥ってしまうケースもあり、注意が必要。

適切な予防と異常事態への対策、蘇生方法などをきっちり理解し、盤石の体制で周産期を管理できると良いと思いました。

上記の詳しい解説は「お気酪獣医 クスリ(笑)の処方箋」で見ることができます。