薬に頼らない乳房炎発症予防のために カルスポリン乳牛セミナー2018
2018 年 3 月 14 日
アサヒカルピスウェルネス(株)は3月14・15日、帯広市と紋別市で「カルスポリン乳牛セミナー2018」を開催中。
酪農家はじめ、乳牛栄養の研究者や技術者、獣医師、関連企業などから多数が参加している。
同社初開催となる本セミナーでは、麻生久氏(東北大学大学院農学研究科 教授/食と農免疫国際教育研究センター長)が「牛乳房炎におけるプロバイオティック飼料の効果」と題して、薬に頼らない家畜感染性疾病の予防、腸内細菌を整えるプロバイオティクスの免疫機能性などについて講演した。
以下はその概要の一部。
■日本で使用される抗菌薬のうち約55%が家畜に使用されている。そこから耐性菌が生まれ、人に感染し、薬が効かなくなるというケースが発生してきている。ゆえに各国で、抗菌薬の使用を減らし、適正使用を促進する取り組みが行なわれている。
■そうした背景のもと東北大学は、農免疫を基盤とした農畜水産物の健全育成と食品安全システムの創出に向けて3年前に食と農免疫国際教育研究センターを開設した。そこでは現在、乳汁中のシクロフィリンA(炎症起因子)測定により農場で乳房炎を早期診断する方法の開発や、病気の発生を未然に抑えるプロバイオティクスの効果などを研究している。
■プロバイオティック飼料の乳房炎発症予防効果の研究として、枯草菌を主成分とした飼料添加物「カルスポリン」の給与試験をしたところ、乳房炎発症回数・投薬日数・出荷停止日数において有意差が認められ、枯草菌(カルスポリン)は乳房炎の発症を抑制することがわかった。
■さらに枯草菌(カルスポリン)給与は、乳牛の栄養状態を維持し、免疫系を活性化することを解明した。
■今後は、薬に頼らない乳房炎発症予防のために、乳房炎早期診断法の開発、プロバイオティック飼料素材の研究に取り組んでいく。そのことにより、乳牛における乳房炎の発症が軽減し、乳用牛の供用期間が延伸し、乳牛飼養頭数が確保されて増加し、生乳生産量が増加することにつながる。つまり、酪農業における諸問題が解決することとなる。
その後、同社飼料事業本部の西山東希氏が「カルスポリンについてのご紹介」と題して、製品概要および試験データ(腸内菌叢の適正化、増体効果、乳量に対する効果)を紹介した。
※本記事は帯広会場で取材。
※詳報はDairy Japan 5月号で。
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