有機酪農の可能性を求めて日韓が情報交流会:畜産草地研究所が開催

2012 年 10 月 12 日

Filed under: — admin @ 8:03 PM セミナー報告,ニュース

独立行政法人農研機構畜産草地研究所(栃木県那須研究拠点)は12日、世界的に穀物需給が逼迫している中で、自給飼料生産とそれに基づく畜産経営の確立が不可欠とし、その一つの解決策として有機畜産をテーマに、韓国から研究者らを招聘し、県内牧場でソルガムの無農薬栽培を視察後、資源循環型の飼料生産の有効性や方向性に関する情報交換会を開いた。

韓国側から2つの報告があり、同国の酪農事情および有機牛乳のポジションが発表された。それによると、同国ではシェアは極小なものの、畜産環境の面から行政の後押しがあることなどが述べられた。

日本側からは、北海道津別町の有機酪農研究会・顧問の山田輝夫氏(酪農家)が13年に及ぶ有機酪農の実践活動から、経営方針を「エコ酪農」「環境・牛にやさしいエコラジカル酪農」「経済性が確保されるエコノミー酪農」を基本にしている、と報告。飼養管理の基本は牛にやさしい放牧(アニマルウエルフェア)の実施とした。現在、同牧場の生乳を原料にした「オーガニック牛乳」が道内で発売されている(製造販売:明治)。同氏は酪農の「基本は土づくり」とし、イネ科とマメ科牧草がバランス良くなったと述べた。また、イヤーコーンにも取り組み、飼料自給率向上に挑戦中。

そのほか、東北農業研究センターの魚住順上席研究員は「リビングマルチを活用した飼料作物の無農薬栽培」、をレポートした。九州沖縄農業研究センターの山田明央上席研究員が「地域資源を活用した国産飼料100%による牛肉生産技術」について報告した。(文責:関東支局)

*参考記事 月刊Dairy Japan誌  2012年10月号 巻頭記事
*山田牧場HP http://farm-ymd.co.jp/organic/index.html

                  

 

埼玉県:第3回農業大賞(地域貢献部門)に酪農家の亀田康好氏

2012 年 10 月 11 日

Filed under: — admin @ 10:12 PM ニュース

埼玉県はこのほど、第3回農業大賞「地域貢献部門」大賞を坂戸市の酪農家・亀田康好氏に授与すると発表した。

同大賞は、革新的な農業経営や地域農業の振興・活性化に取り組み、優れた功績を上げた農業者を称え、広く紹介し、県内農業の一層の発展を図ることを目的に毎年、ベンチャー部門および地域貢献部門の分野において優秀な農業者を表彰しているもの。

今年の大賞「地域貢献部門」で受賞した亀田康好氏は、成牛21頭、子牛・育成牛17頭を飼養。約5.5ヘクタールの自給飼料基盤を持ち、就農以来、自給粗飼料主体による乳牛管理と、育種改良による長命性のある牛群づくりに励んできた。
あわせて、消費者交流、食育、酪農教育ファームやモーモースクール(酪農体験など)を通じ、酪農・牛乳・消費者との連携に尽力してきた。これらが評価されたもの。

表彰式は、11月3日(土)に開催される「2012彩の国食と農林業ドリームフェスタ」開会式で行われる。

日本畜産環境学会が会誌(VOL.11 No.1)を発行

2012 年 10 月 10 日

Filed under: — admin @ 4:10 PM ニュース

日本畜産環境学会(事務局:東北大学大学院農学研究科環境システム生物学分野)はこのほど、秋の学会誌(VOL.11、No.1)を発行した。

内容は、総説、研究報告、原著論文から成り、総説で羽賀清典氏(畜産環境整備機構、麻布大学)は、「硝酸性窒素等に関わる暫定排水基準改定」と題した中で、
「畜産排水は、硝酸性窒素の暫定基準の改定が2013年(平成25年)7月に迫っており、現行の一律基準の100mg/Lにも適合できる汚水処理システムの準備が必要だろう」とし、窒素除去率の高い既存の回分式活性汚泥法や、間欠ばっき法の再評価が重要などとしている。

硝酸性窒素の基準値は一律100mgであるが、畜産現場の現況から暫定基準値が1500mgと設けられていた。しかし、2004年(平成16年)に1500mから900mgに引き下げられ、その後3年ごとに暫定延長が行われ、次回は2013年7月に改定の時期を迎える。

 

高校生考案の「牛乳類を使ったスウィーツ」を来週からセイコーマートで販売

2012 年 10 月 5 日

Filed under: — djito @ 2:09 PM ニュース


酪農学園大学(北海道江別市)と北海道大手コンビニエンス・ストアのセイコーマートは5日、高校生が考案した、牛乳類を使ったお菓子レシピの商品化の発表会を行なった。

同大学は、停滞する牛乳消費拡大対策の一環として、6年前から高校生を対象に牛乳類を使ったお菓子レシピのアイデアを募集する「高校生パティシエコンクール」を実施している。
そして毎回、セイコーマートとの産学連携の取り組みにより、その入賞作品の一部を商品化している。
7回目となる今年は7作品が商品化され、10月8日から11月4日までの4週間、全道のセイコーマート、北海道スパー、およびハセガワストアの1132店で販売される。

同大学の谷山弘行学長は会見で、「毎年応募数が増えており、質が高く、ネーミングも微笑ましい。教職員全員でこのコンクールを支え、大学のカラーとしていきたい」と挨拶した。

株式会社セイコーマート、マーケティング企画部の佐々木威知部長は、「消費者ニーズで健康はキーワードであり、牛乳はそれに合致している。昨年は5品で24万個を販売した。今回は26万個を販売目標とし、牛乳の消費拡大につながるよう精いっぱい取り組んでいく」と話した。

今回の7品は以下のとおり。カッコ内は考案者。
「YOUR SWEETS ムースタルトケーキ」
(三重県相可高校2年・北地茉菜さん)
「YOUR SWEETS モーティラ」
(北海道富川高校3年・蔦慎治さん、栗山佳苗さん、平村侑莉さん)
「YOUR SWEETS クマッチャプリン」
(北海道斜里高校3年・山田将士さん)
「YOUR SWEETS 雪層ミルクレープ」
(北海道斜里高校3年・須藤竜平さん)
「YOUR SWEETS チーズふわやき」
(北海道斜里高校3年・大西彩乃さん)
「YOUR SWEETS じゃがっターチーズケーキ」
(岡山県津山東高校3年・森本菜月さん)
「YOUR SWEETS 牛乳レアチーズケーキ」
(福岡県久留米筑水高校2年・田中朱里さん)

福島県:復興に向けて「ミネロ・パイロット・ファーム」が生乳出荷をスタート

2012 年 10 月 4 日

Filed under: — admin @ 12:00 AM ニュース

NPO法人福島農業復興ネットワークが運営する「ミネロ・パイロット・ファーム」(福島市松川町)は5日から生乳出荷を始める。同農場は、県内の東日本大震災および東京電力福島原子力発電所発事故により被災した方々が管理者となって共同経営するもの(本誌2012年9月号参照:写真)。現在は約90頭を飼養、年内には150頭規模となる見込みで、新しいスタートを切る。
*福島農業復興ネットワーク www.far-net.or.jp

傾斜牧草地の除染技術を開発:畜産草地研究所が福島県内で実演

2012 年 10 月 3 日

Filed under: — admin @ 5:35 PM ニュース

農研機構畜産草地研究所(那須研究拠点)は3日、福島県にある独立行政法人家畜改良センターで、傾斜牧草地における放射性物質の除染技術の開発状況を発表した。これは同研究所の栂村恭子氏を研究総括者として、福島県農業総合センター畜産研究所、松山株式会社らが開発したもの。

飼料圃の放射性物質汚染濃度は、リター部(草の茎葉などが枯れ落ち土壌に積もった部分)や土壌に集中しており、プラウなどによる深耕起とディスク耕を併せるとセシウムの除染に効果的であることが分かっているが、傾斜や石礫の多い牧草地では作業が困難だった。

このため、堤防畔草などの刈り取りで使われる無線操縦の傾斜用低重心クローラトラクターに装着できる、ロータリーなどのアタッチメントを開発した。このロータリーは、1)油圧で駆動、2)爪部が広い(石に強い)、3)一つのフランジに6枚の爪を装着(砕土・撹拌性能を向上)、4)ゲージ輪をロータリー軸に近づける(地表の凸凹に、より正確な対応)、などの特徴をもつ。

実証試験は傾斜角度10から12度程度をカバーしており、一般の乗用トラクターでは深耕作業が困難な傾斜牧草地の汚染がより早く進むことを目的としている。今後、実際の草への除染効果やロータリーの耐久性などの試験を経て実用化をめざしている。

問い合わせは畜産草地研究所へ。
http://www.naro.affrc.go.jp/inquiry/index.html

ヒートポンプによる生乳のプレクーリングで温水を生成:農研機構の産学官連携セミナー

2012 年 9 月 26 日

Filed under: — admin @ 11:01 AM セミナー報告,ニュース

独立行政法人農業・食品産業技術研究機構(農研機構)は25日、2012年度第3回産学官連携交流セミナーを開いた。今回のテーマは「農作物や牛乳の生産・調製における省エネルギー対策」で、同機構の3つの研究所が4つの成果を発表し、参加者らと意見交換を行なった。

酪農分野では、畜産草地研究所畜産環境研究領域の石田三佳主任研究員が、CO2ヒートポンプによる生乳のプレクーリングシステムにより熱交換で温水ができるシステムの導入事例を報告した。

これは、CO2ヒートポンプとアイスビルダおよび貯温水タンクを、従来の冷却システムに付設するもの。実証試験は2つの酪農場で行われた。その結果、エネルギー消費量、ランニングコスト、CO2排出ともに削減し、化石燃料の使用量が削減可能と示唆された。生成された温水(80℃)はミルカーやバルクの洗浄、家庭内利用、牛の飲水などに利用できる。

*関連記事 DairyJapan 2011年1月号
「生乳冷却・洗浄用温水生成のランニングコストを削減しCO2も削減する」
*問合せ 農研機構 連携広報センター
http://www.naro.affrc.go.jp

全道共進会の頂点は上士幌町・熊谷肇さんの出品牛

2012 年 9 月 23 日

Filed under: — djito @ 5:57 PM ニュース

北海道ホルスタイン農協主催の「2012北海道ホルスタイン・ナショナル・ショウ」が22・23日、安平町早来の北海道ホルスタイン共進会場で開催された。
道内各地区の予選を勝ち抜いたホルスタイン種約450頭、ジャージー種約50頭が一堂に会し、乳牛の資質を競い合った。

オフィシャル・ジャッジ(主任審査員)は木村博文さん(大樹町・酪農家)、
アソシエート・ジャッジ&ジャージー部門オフィシャル・ジャッジは瀬能剛さん(岩見沢市・酪農家)、
リードマンコンテスト・ジャッジ&ジュニアカップ・ジャッジは成田純哉さん(釧路市・酪農家)。

ホルスタインの部でグランドチャンピオンに輝いたのは4歳クラスの1等賞1席、上士幌町・熊谷肇さん出品のハツピーグローリー ダンデイー エターナル ET(父 レーガンクレスト ダンデイー ET)【写真】。
リザーブ・グランドチャンピオンは5歳クラスの1等賞1席、豊富町・栗城一貴さん出品のエツセンス ダーハム レクサス アポロ ET(父 レーガンクレスト エルトン ダーハム ET)だった。

オフィシャル・ジャッジの木村さんはグランドチャンピオン牛について、「身体全体と乳器のバランスが極めて高い牛である」と講評した。

10-12月期の配合飼料値上げに特別対策

Filed under: — djito @ 9:10 AM ニュース

JA全農は21日、10-12月期の配合飼料供給価格を、
7-9月期に比べて全国全畜種総平均で1t当たり約4350円値上げすると発表した。
米国のトウモロコシ相場高騰の影響などを受けて大幅な値上げとなったもの。

なお、配合飼料安定基金制度による、同期の基金補てん財源に不足が生じることから、
JAグループは国に異常基金の発動要件の緩和等の財源確保を要請してきたが、
農林水産省は同日、10?12月期における通常基金の財源不足への対応として、以下の特別対策を決めた。

1 異常基金の要件緩和
 飼料自給率を向上させる取り組みを行なうことを条件として、
平成24年10月-平成25年3月の期間において、異常基金の発動要件を115%から112.5%に緩和する。

2 異常基金から通常基金への貸付
 異常基金の発動によっても満額補てんに不足を生じる部分については、異常基金から通常基金へ貸付を行なう。

これにより10-12月期の通常基金は満額補てんとなり、
実質生産者負担は7-9月期よりも軽減されることとなる。

体外受精卵の生存率向上技術:畜産草地研究所らのチームが発表

2012 年 9 月 14 日

Filed under: — admin @ 8:32 PM ニュース,未分類

9月14日、畜産草地研究所、東京大学大学院農学研究科および秋田県畜産試験場は、健康食品の素材として利用されているL-カルニチンを培養液に添加することで、添加しない場合と比べて、牛の体外受精卵の生産率を32.4%から44.6%へ、凍結保存後の生存率を66.9%から91.0%に向上させることに成功した、と発表した。

その効果は、1 mLの培養液当たり0.6 mgの L-カルニチン(4円相当)の添加によって得られる、としている(培養液1 mLは約200個の牛の受精卵が培養できる量)。 これらの成果により、子牛の生産性向上が期待できると見込まれる。

詳しくは、同研究所ホームページで;
http://www.naro.affrc.go.jp

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