酪農って正解がない気がする

[酪農って、正解がない気がする]

最近よく思うことです。例えば哺育管理。
先日訪問したとある農場では、「うちは母牛の初乳は一切使わず、全て代用初乳。子牛が生まれ落ちた瞬間から、いかに菌に曝さずに初乳を届けるかが勝負。しかし、無理に早く給与しても良くないので、可能な限り衛生的で乾燥した環境を提供し、菌を入れないことに注力する。哺乳ボトルも、使い捨ての内袋の中で代用初乳を作り給与することで、洗浄時の菌残りなどを阻止する。とにかく衛生環境のための手間と費用は惜しまない」というスタイルでした。もちろん、子牛の事故率、増体ともに優秀でした。

一方で「衛生的かつストレスフリーに使用できる環境に十分な投資を行なった。だからこそ、母牛の初乳や、移行乳での哺育管理ができるようになった。代用初乳を辞め、通常哺乳は移行乳を使用するため粉ミルク代は大幅削減。ランニングコストの低減につながった」という農場もありました。もちろんこちらも、事故率、増体ともに優秀でした。

両農場とも方法は違えど、結果は似ている。ただ、根本の考え方は両者とも「子牛にはできる限りの衛生的でストレスフリーな環境を」というものがありました。
改めて、だからこそ酪農は奥が深いし、これだけたくさん取材をしてもいつも新鮮に聞くことができるのだと実感しました。

 

 

[らくコネ]更新しました

[らくコネ]更新しました

浜中町の酪農家、水本さんのブログを更新しました。
自分の農場だけでなく、常に地域や業界を見据えている水本さんの、酪農経営の考え方について教えていただきました。

内容盛りだくさんで、酪農をしていない私が読んでもためになりました。

 

水本牧場ブログ5:私の酪農経営哲学

新刊『酪農家を楽にする 牛のためのお産Book』(石井三都夫著)注文受付開始!

新刊『酪農家を楽にする 牛のためのお産Book』が8月5日に発売されます。
著者は、世界でも数少ない、「牛のお産」について現場で調査研究を続けている石井三都夫獣医師(※)の集大成です。
A4判・218ページ、定価4,950円(本体4,500円+税、送料込み)。
以下のDJオンラインショップからご注文ください。
https://dairyjapan.base.ec/items/87786331

※【著者】石井 三都夫 プロフィール
釧路地区NOSAIにて27年間の大動物臨床経験後、帯広畜産大学にて准教授として大動物臨床教育に8年半携わる。
2014年現職「株式会社 石井獣医サポートサービス」開業以来、毎年、大型農場にて牛のお産を監視するイベント「石井塾デイリーサマーキャンプ」を塾長として開催している。
十勝子牛研究会会長のち2024年度より特別顧問。獣医学博士。

【内容】
序章
 今、なぜ、お産が大切なのか?
 牛の気持ちを読むお産管理

第1章 お産前の管理
 初産牛
 泌乳期から乾乳期まで
 お産の環境

第2章 お産の進行
 お産の始まり
 分娩第1期:初期陣痛の開始から第1破水まで
 分娩第2期:破水から胎子娩出まで

第3章 お産のトラブルと対処法
 異常分娩(難産・死産)の見極めと対処法
 娩出期の異常分娩(難産・死産)の見極めと対処法
 子宮捻転
 胎子失位の見極めと対処法
 牽引助産法
 おへそを意識したお産
 難産が新生子牛に及ぼす影響
 新生子牛の蘇生・管理法
 帝王切開術・切胎術

第4章 お産後ケアとトラブル対策
 後産期(分娩第3期)~正常な胎盤排出と胎盤停滞の予防対策~
 お産直後の母牛へのケア
 子宮脱
 低カルシウム血症
 潜在性低カルシウム血症
 おへそのお話

第5章 初乳給与
 初乳の役割
 受動免疫の評価方法
 正しい初乳給与法
 初乳の吸収効率を低下させる要因

第6章 まとめ
 まとめ

索引
分娩管理マニュアル

牛乳月間は終わりましたが…

数日前までの猛暑から一転、各地は梅雨空に戻り雨が続いています。地域によっては災害級の大雨となっているところもあるようですから、皆さまお気をつけください。

さて、先日訪ねた香川県のM牧場では、牛舎の一画に「3-A-Day」の看板が設置されていました。「3-A-Day」とは2003年にアメリカで始まった食生活改善運動で、1日に牛乳乳製品を1日に3回、または3品摂取しましょうというものです。日本でも2004年からこの取り組みはスタートしました。取材時は6月25日。「牛乳月間」の真っ最中でした。

M牧場は取引先の担当者をはじめ、視察などで多くの人が訪れ、看板が設置された柵の前は多くの人や車が通ります。人の目に付くところに消費喚起を促す看板を設置することで、牛乳乳製品の良さをPRするのは取材でお邪魔する際によく目にする光景です。やはり消費あっての酪農。「牛乳月間」は過ぎましたが、スマホに残った写真を見て「もっと牛乳を飲もう」と気持ちを新たにしました。