バンカーサイロ上面の除雪

「今年は雪が多いし、寒さもきつい」と言う上川管内のTさん。
バンカーサイロ上面の除雪中です。
積雪地域の酪農ならではの苦労ですが、
「雪が積もるからサイレージは凍らないし、土壌凍結もない。苦あり楽ありだね」
とTさん。

それにしても約1週間分の給与量のサイロ上面(取り出し面から2から3m分)の除雪をするのは、
かなりの労力です。
そこでTさんは、家庭用の小型除雪機で除雪することも検討中だそうです。

食洗機でボトル洗浄

北海道十勝管内のS子牛哺育育成牧場では、哺乳ボトルや乳首の洗浄に飲食店で使われている食洗機を利用しています。
これにより一度に多くの哺乳ボトルと乳首を洗うことができ、なおかつ短時間で洗い終えることができるといいます。
こうして省けた時間を子牛の健康チェックに最大限活用することができます。
なお、洗浄後には次回哺乳時に向けて乳首を庫内で温めておくこともできます。

すべては子牛のために時間を費やすという気持ちが伝わってきます。

謹賀新年

明けまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

寒い日が続いていますが、子牛達は元気でしょうか?
十勝管内のY牧場では、長女のRちゃん(小5)が哺乳のお手伝いをしています。
代用乳の量はもちろん、溶かすお湯の温度を毎回慎重に測り、
給与するときにちょうど良い温度(39度程度)になるようにしています。
だから子牛達は元気いっぱいです!

手作りハッチとヒーターで暖かく

冬の寒さ厳しい北海道十勝管内のI牧場では、生後間もない子牛を寒さから守るため、コンパネで手作りした専用ハッチを利用しています。
コンパネハッチにはホームセンターで買える小型ヒーターが装備されていて、ハッチにコンパネの屋根をすることで、中はとても暖かく保たれています。
I牧場のご主人は、「産まれたての子牛をいかに早く乾かすかが先決で、これで後の免疫力に差が出る」「濡れたままだと下痢や風邪をひく。人間と同じ」と言います。
子牛は乾くまでこのコンパネハッチで温めるそうで、だいたい2日くらいだそうです。

あと2日で2011年も終わり、ますます寒さが厳しくなってきます。
風邪をひかないよう、人も牛も寒さ対策は十分にしていきましょう。

みなさま良いお年をお迎えください。

カナダの酪農家はクォータ(生乳生産枠)制度を誇りに思っている

石狩北地区乳牛検定組合と江別市酪農振興協議会主催の「酪農研修会」が先週、江別市で開催されました。
講師はDairy Japanで「繁殖と栄養」を連載していただいている、お馴染みの大場真人先生(アルバータ大学准教授/酪農学園大学特任准教授)です。
「大場先生の講演を聞きたい」という声が多く、江別市の酪農家はもとより、関係者を含めて約60人が参加しました。

この日の講演内容は、「北米の酪農事情/カナダとアメリカ」「高泌乳牛は繁殖が悪くて当然か?」「エネルギー摂取量を向上させる栄養管理」などでした。
乳牛栄養学の話はもちろん、カナダ酪農とアメリカ酪農の比較も興味深いものでした。
以下は、取材メモです。

●アメリカ酪農
-クォータ(生乳生産枠)制度なし
-乳価の変動が非常に激しい
-規模拡大か離農かという選択に迫られる

●カナダ酪農
-クォータ制度あり
-酪農家の利益が確保できる乳価を設定
-乳価は安定するが生産量は増やせない
-政府からの補助金はない
-カナダのクォータとは、「1日1kgの乳脂肪を生産する権利」のことで、売買価格は現在(12月)3万4000カナダドル。
-ということは、搾乳牛100頭、乳量30kg/日、乳脂率3.8%というカナダで平均的規模の農場であれば、
 1日の乳脂肪生産量=100頭×30kg×3.8%=114kg
 クォータ資産=3万4000カナダドル×114kg=388万カナダドル=約3億円
-廃業する際、この約3億円は退職金代わりとなる。
-クォータ価格はどんどん上がった。ということは、「酪農は利益のあがるビジネス」と認識されている証拠である。
-したがってカナダの酪農家は、クォータ制度を誇りに思っており、この制度を守ろうとしている。

日本もクォータ制度がありますが、カナダとはだいぶ違っていますね。
アメリカとカナダの中間のような感じでしょうか?