「今年は雪が多いし、寒さもきつい」と言う上川管内のTさん。
バンカーサイロ上面の除雪中です。
積雪地域の酪農ならではの苦労ですが、
「雪が積もるからサイレージは凍らないし、土壌凍結もない。苦あり楽ありだね」
とTさん。
それにしても約1週間分の給与量のサイロ上面(取り出し面から2から3m分)の除雪をするのは、
かなりの労力です。
そこでTさんは、家庭用の小型除雪機で除雪することも検討中だそうです。
冬の寒さ厳しい北海道十勝管内のI牧場では、生後間もない子牛を寒さから守るため、コンパネで手作りした専用ハッチを利用しています。
コンパネハッチにはホームセンターで買える小型ヒーターが装備されていて、ハッチにコンパネの屋根をすることで、中はとても暖かく保たれています。
I牧場のご主人は、「産まれたての子牛をいかに早く乾かすかが先決で、これで後の免疫力に差が出る」「濡れたままだと下痢や風邪をひく。人間と同じ」と言います。
子牛は乾くまでこのコンパネハッチで温めるそうで、だいたい2日くらいだそうです。
あと2日で2011年も終わり、ますます寒さが厳しくなってきます。
風邪をひかないよう、人も牛も寒さ対策は十分にしていきましょう。
みなさま良いお年をお迎えください。
石狩北地区乳牛検定組合と江別市酪農振興協議会主催の「酪農研修会」が先週、江別市で開催されました。
講師はDairy Japanで「繁殖と栄養」を連載していただいている、お馴染みの大場真人先生(アルバータ大学准教授/酪農学園大学特任准教授)です。
「大場先生の講演を聞きたい」という声が多く、江別市の酪農家はもとより、関係者を含めて約60人が参加しました。
この日の講演内容は、「北米の酪農事情/カナダとアメリカ」「高泌乳牛は繁殖が悪くて当然か?」「エネルギー摂取量を向上させる栄養管理」などでした。
乳牛栄養学の話はもちろん、カナダ酪農とアメリカ酪農の比較も興味深いものでした。
以下は、取材メモです。
●アメリカ酪農
-クォータ(生乳生産枠)制度なし
-乳価の変動が非常に激しい
-規模拡大か離農かという選択に迫られる
●カナダ酪農
-クォータ制度あり
-酪農家の利益が確保できる乳価を設定
-乳価は安定するが生産量は増やせない
-政府からの補助金はない
-カナダのクォータとは、「1日1kgの乳脂肪を生産する権利」のことで、売買価格は現在(12月)3万4000カナダドル。
-ということは、搾乳牛100頭、乳量30kg/日、乳脂率3.8%というカナダで平均的規模の農場であれば、
1日の乳脂肪生産量=100頭×30kg×3.8%=114kg
クォータ資産=3万4000カナダドル×114kg=388万カナダドル=約3億円
-廃業する際、この約3億円は退職金代わりとなる。
-クォータ価格はどんどん上がった。ということは、「酪農は利益のあがるビジネス」と認識されている証拠である。
-したがってカナダの酪農家は、クォータ制度を誇りに思っており、この制度を守ろうとしている。
日本もクォータ制度がありますが、カナダとはだいぶ違っていますね。
アメリカとカナダの中間のような感じでしょうか?