生産量を伸ばすことを第一の目標としている十勝管内のTさん。
毎月の出荷乳量(数字)を牛舎の事務所の壁に貼り、
対前年比もはっきりと明示しています。
いわゆる「見える化」です。
Tさんは、こうした「見える化」でモチベーションを上げ、
出荷乳量を増やしていくための戦略を練り、
さらにボトルネック(進行の妨げとなる点)を改善するための努力、
情報収集に余念がありません。
「見える化」は確かに効果あります。
十勝管内のT牧場では、その年に撒いた品種のコーンを
4年ほど前から、毎年自宅近くの牛舎脇に2本ずつ生育させています。
T牧場は、去年に引き続き、今年も3品種を撒きました。
写真の通りスクスクと生育しています。
なぜ牛舎脇で育てるようにしたのか?と問うと、
Tさんは、「ちゃんと行くに越したことはないけど、
こうすれば、大体予想することができる」
と、畑にチェック時期の良い指標になるそうです。なるほど!
そして、その年の病気の状況などの確認もできるといいます。
また、病気に強い品種を使えば間違いないのでは?と問うと、
「間違いないものは良いが、それじゃつまらないでしょ」と。
自分の畑に合う品種を自分で確かめるという飽くなき努力に感激です。
十勝管内のT牧場で、朝のベッドメイクが終わったところです。
敷料の麦稈をこんなに豊富に入れてもらって、牛達は気持ち良さそう。
T牧場は、経営戦略の一環として、家畜市場から安価な牛(平均10万円ほど)を
購入してきて子を産ませ、そして搾ることにも取り組んでいます。
安価な牛とは、廃業する牧場から出された牛や長期不受胎牛、
肢蹄に支障のある牛などです。
導入後(隔離検査後)、まず治療して、繁殖能力を回復させることから始まります。
だからカウコンフォートには、とても、とても、気をつかっています。
このようしてT牧場は、乳牛としての生産寿命を延ばすことに貢献しています。
さらに詳しくはDairy Japan 10月号の特集をご覧ください。
北緯40度に位置する酪農の町「幌延町」。
今回は同町の農協を訪問した際にお目にかかった子ども達の絵です。
写真にあるのは、同町農協が主催する「酪農フェスティバル」にて
小中学生を対象とした「牛の絵コンテスト」の入賞者の作品です。
どれも素晴らしく、着眼点がそれぞれ違うのが面白いところです。
審査は、“絵心のある”同町酪農家により行なわれるそうです。
農協職員さんは、「酪農の町として、子ども達には牛とふれあい、
よく観察してもらいたい」とのことでした。
酪農フェスティバルは、毎年7月に行なわれ、今年で3年目。
それ以前は農協が行なう組合サービスの一環だったそうですが、
3年前からは町民を巻き込んだお祭りとして行なっているそうです。
毎年、一般の町民が300人以上集まるそうです。
十勝管内のY牧場を訪問したら、事務所に「生うに」の発泡スチロール箱が置いてありました。
何かと思って尋ねたら、それは、乳房炎を発見したときに牧場で乳房炎乳を培養し、原因菌に基づいて治療方法を決定する「オンファーム・カルチャー」の培養器の手作りカバーでした。
「乳房炎原因菌の特定は、検査に出して結果が帰ってくるまでに通常3日、菌種によって4日かかることもある。その間に、乳房炎がどんどん進んでいく場合もある。自分で培養すると、遅くても48時間で判定できるし、それによって薬剤の選定を素早くできる」とYさん「オンファーム・カルチャー」の利点を話してくれました。
また、「ただ単に牧場で培養するだけではダメ。下手すると大きな間違いにつながる可能性もある。その牧場の傾向をきちんと把握して取り進めることが大事だ」と注意点も加えてくれました。
「オンファーム・カルチャー」について詳しくは、Dairy Japan 2012年2月臨時増刊号「乳房炎の防除–乳質向上と免疫力アップ–」をご覧ください。