「北海道酪農技術セミナー」が10月28・29日、帯広市で開催された。
講演の一つ、「朝霧メイプルファームのチャレンジと成果」では、同牧場(静岡県、400頭搾乳)に4年前に就農し、後継者であり、現場責任者である丸山純氏が、この4年間、農場を改善すべく三つのチャレンジに取り組んだこと内容を、ビデオ映像を交えて紹介した。
その三つとは「乳房炎をなくす」「蹄病をなくす」「周産期病を解決する」で、そこには「Do It Yourself(自分達でやる)」をキーワードとした。
乳房炎へのチャレンジでは、搾乳手順や処置のマニュアル化、オンファームカルチャーを行ない、年平均4.9%だった乳房炎罹患率を0.9%に制圧することに成功した。
蹄病へのチャレンジでは、女性1人でも削蹄できる高性能の枠場を導入し、グラインダーによる削蹄を習得し、積極的に技術を習得したことにより、蹄病由来の廃用は激減し、跛行を早期発見・早期処置できるようになった。
周産期病へのチャレンジでは、フレッシュ群を新設し、観察を強化、エサ喰い・体温・血液検査などに明確な処置基準を定め、それに準拠した管理を徹底したことにより、平均ピーク乳量が3kg以上アップし、第四胃変位や代謝病が減少した。
各チャレンジおいて「Do It Yourself」を基本方針としたことで、従業員の責任感、モチベーション、牧場全体の能力がアップし、その結果、1頭当たり平均日乳量約33kgが約37kgに上がり、日出荷乳量が4tアップしたことを報告した。
そして、「乳量を上げるためにどうするかではなく、従業員のモチベーションを上げるためにはどうするか、ということに取り組むことが重要であることを痛感した。その結果として乳量が上がるというのが理想的である」と語った。