農場から伝染病リスクを守ろう

毎日、暑い日が続いています。人も牛もバテ気味のことと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、農場にはさまざまなリスクが存在しますが、このうち今回話題にしたいのは、感染症対策です。
農水省は6月30日、新たな「飼養衛生管理基準」を公布しました。施行は今年10月1日です(一部はその後に施行)。この飼養衛生管理基準は家畜伝染病予防法に定められた監視伝染病(口蹄疫やヨーネ病、プロプラズマ病などの家畜伝染病と、サルモネラやBSEといった届出伝染病)を予防するための管理基準で、家畜の飼養者はその遵守が義務付けられています。とはいえ、飼養衛生管理基準の遵守は、監視伝染病を防ぐことにつながるだけでなく、乳房炎の防除や下痢・肺炎の発症リスクを下げることにもつながる有益な技術です。ぜひ、そうした視点からも取り組んでみてください。
今回の改定は、乳牛においては口蹄疫など重大な伝染性疾病の感染リスクがあることから、前回の飼養衛生管理基準より踏み込んだ内容となりました。

新たな飼養衛生管理基準は
Ⅰ:家畜防疫に関する基本的事項
Ⅱ:衛生管理区域への病原体の侵入防止
Ⅲ:衛生管理区域内における病原体による汚染拡大防止
Ⅳ:衛生管理区域外への病原体の拡散防止
の大きく四つで構成され、それらの枠を超えて38項目の基準が設定されています。
乳牛の所有者の責任が明確化され、関連法令の遵守をはじめ、伝染性疾病の発生や蔓延防止のための情報収集、防疫体制の構築、農場の管理マニュアルの作成と遵守などが明文化されています。また、口蹄疫をはじめとする伝染性疾病が発生した際に、放牧の中止や制限がかかる場合に乳牛を管理できる畜舎などの整備と移動準備が求められることになります(施行は令和3年10月)。
また、これまで農場に訪れる人や農場外から持ち込む車両、モノの洗浄・消毒は必要だったことに加え、新たに農場外に人が出る際、また農場外に車両やモノを搬出する際にも洗浄・消毒が必要とされるようになります。これは病原体やウイルスを農場に持ち込まないという考えに加え、農場外に持ち出さない観点も盛り込まれたものです。
新たな飼養衛生管理基準の詳細については、以下を参照してください。詳細は以下を参照してください。

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Dairy Japanでは、2020年9月臨時増刊号『Dairy PROFESSIONAL Vol.18』で、新たな飼養衛生管理基準について詳しく解説しています。新たな飼養衛生管理基準を知り、その対応を考えるために、ぜひご一読ください。