農場の衛生管理システム構築でマッチングフォーラム:動物衛生研究所が開く

2011 年 11 月 24 日

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11月24日(木)、農研機構・動物衛生研究所は茨城県・同研究所で、
「農場の衛生管理システム構築に寄与する常在微生物用消毒資材」
に関する官民のマッチングフォーラムを開いた。

主催者挨拶で、同研究所ウイルス・疫学研究領域長の恒光裕氏は、
「防疫の基本は、病原菌を入れない・出さない、であるが、
貿易の自由化が避けられない中で、安全・安心な国産畜産物を生産するために
民間のもっているノウハウを研究につなげ、成果をあげるのが目的」と話した。

研究推進責任者の犬丸茂樹氏は、今年度から5年で一定の成果を出したいとし、
1:農場段階でのバイオセキュリティ強化技術の開発
2:衛生管理による微生物の低減化技術の開発
3:異常畜早期発見システムの開発 
をテーマに、企業や大学の持つ資材、技術、知識等を取り入れ、
発展させるパートナーを求めていると話し、解析センター(仮称)をつくると述べた。

企業側からは、
「光触媒を活用した浮遊するウイルス対策(ユービックス・森戸佑幸氏)」、
「光触媒砂を用いた環境消毒(西機資材・小川敏雄氏)」、
「弱酸性水を用いた畜舎等の消毒(OSGコーポレーション・竹内正浩氏」
「微酸性次亜塩素酸水を用いた畜舎等の消毒(微酸性電解水研究所・土井豊氏)」
「消石灰入り機能性塗布材を用いた畜舎施設等の消毒(グリーン環境マテリアル・福元茂氏)」が 自社製品やシステムをプレゼンテーションした。(文責:関東支局)

「飼料自給の危機をどう乗り越えるか」で研究会開く:畜産草地研究所

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11月24日(木)、農研機構・畜産草地研究所は茨城県つくば市で、
平成23年度自給飼料利用研究会を開き、全国から約160名が参加した。

今回の研究会は、3月11日の東日本大震災および福島原発の影響で、
自給粗飼料に立脚した農家ほど被害が大きかったことに危機感をもち、
安全な飼料の生産・供給・利用を総合的に考えよう、というもの。

農水省生産局の丹菊将貴氏は、
大地震および原発事故の自給飼料や稲わらに関する影響などを報告し、
農地の除染など、今後の営農に向けた取り組みなどを話した。
同省によると、原発事故で被害を受けた農林漁業者等への賠償は
10月21日現在で合計848億円、仮払い額は454億円となっている。

全酪連・酪農経営アドバイザーの三輪達雄氏は、
今回の地震や津波による飼料供給の混乱を説明したうえで、
国内・国際的な飼料情勢を報告し、輸入粗飼料への影響要因として、
天候、UAE(アラブ首長国連邦)の台頭、中国の輸入拡大、
他作物との価格、米国酪農の乳価、為替相場などをあげた。
そして「今後は、日本型の消費者重視の視点に立った、
環境にやさしい農業が求められる」と強調した。

研究紹介では、畜産草地研究所の原田久豊美氏が
「土壌から飼料作物へのセシウムの移行と低減対策」として講演。
採草地、放牧草地ともにゆるやかにセシウムが減少しているデータを示し、
取り組み中の課題として、セシウムの移行抑制技術、調査・モニタリング
などをあげ、あわせて飼料増産や飼料の広域流通の確立で、
ダメージを受けた畜産の回復・耕畜連携の復権」などを話した。

関連して、九州沖縄農業研究センターの加藤直樹氏は
「塩害・湿害を軽減する飼料作物の栽培技術」を報告した。
それによると、灌漑、飼料作物(緑肥)利用などがあり、
飼料イネや河川敷のスーダン不耕起栽培などが有効、と報告した。

畜産草地研究所の浦川修司氏は、自給飼料の広域流通について報告。
飼料イネWCSの広域流通を話し、「稲発酵粗飼料の流通基準」を策定中で、
今後は物流業界との連携が必要、などと述べた。

北海道農業研究センターの青木康浩氏は、飼料イネの広域流通と同じく、
コーンサイレージが、北海道から本州へ海路で流通している事例をあげ、
日本の畜産の飼料事情は重大な局面を迎えており、
コーンサイレージの広域流通の重要性はいっそう増す、などとした。

同研究会は25日(金)には
「フォレージテスト」に関して4つの技術紹介が行なわれる。(文責:関東支局)

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