「農場から食卓への安心確保」をテーマにシンポジウムが開かれる

2012 年 10 月 28 日

Filed under: — admin @ 7:27 PM セミナー報告,ニュース

東大大学院農学生命科学研究科「食の安全研究センター」は、28日、同大学内で「放射性物質汚染と畜産物の安全に関する調査事業シンポジウム」を開いた。

細野ひろみ同大学准教授は「被災地およびその畜産の現状」と題して講演。放射性物質の基準値の意味を概説し、被災県での牛肉の検査体制、価格推移、畜産場の実態などを紹介し、「被災地の農業・食品はどうあるべきかを考えたい」と述べた。

沼沢美知雄氏(宮城県:みやぎ生協)は、産直牛乳の放射性物質対策に関し、県内の酪農を絶やさないために、酪農家とともに県産牛乳を販売し続ける努力を行なったことで、前年比9割まで回復したなどと報告。

福島県の酪王乳業株式会社の鈴木伸洋氏は、2011年度は原発事故により売上減(前年比81%)だったが、逆に「8割の支持が得られたと考えるようにしている」と語った。また安全・安心を訴求するために、生乳に加えて製品段階でもモニタリングを強化し、理解醸成活動を行なっているなどと報告。

畜産現場からは、菅野義樹氏(福島県飯館村:和牛繁殖)が、牛を処分し北海道の和牛農家で働いていること、村民は分散状態にあるが、若者を中心に今後の村のあり方を模索しているなどと報告。上野裕氏(茨城県稲敷市:酪農)は、農地を活かし草で乳を搾る酪農の姿勢を続けたい、などと話した。

シンポジウムでは、近藤隆教授(富山大学)が「放射線については線量と線量率をしっかり把握することが大切」、田野井慶太朗准教授(東大)は「今後は放射線教育が大事、社会と放射線とのかかわり方を考えていきたい」、関崎勉教授(同)は「大切なのは情報の提供」などと話し、澤野林太郎氏(共同通信社)は「農業現場と消費現場の出会いが求められている」などと述べた。(文責:関東支局)

*東大「食の安全安心研究センター」
http://www.frc.a.u-tokyo.ac.jp/

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