加工原料乳限度数量が185万tになった背景とは

2010 年 3 月 25 日

Filed under: — djito @ 10:22 AM セミナー報告

(社)北海道酪農協会(会長/金川幹司氏)は24日、札幌市内で「酪農の新たな所得政策の考え方」と題したシンポジウムを開催し、全道から酪農家および関係者が参加した。
倉重泰彦氏(農水省・畜産部・牛乳乳製品課長)と前田浩史氏(中央酪農会議・事務局長)が講師として招かれ、活発な意見交換も行われた。

倉重氏は「生乳需給の現状と22年度酪農関係畜産物価格・政策決定の概要」と題し、2月に決定された来年(22年)度の政策価格および関連対策の背景を解説した。それによると、

今年(21年)度末の需給ギャップ(供給>需要)は約30万tと予測され、この結果、バターは3.7万t(5.8カ月分)、脱脂粉乳は7.1万t(5.4カ月分)の在庫となる見込み(j-milk予測)。
来年(22)度は、もし自然体(対策なし)で生産すると年度末には、さらに29万tのギャップが発生し、バター・脱脂粉乳は8カ月分の在庫となることが予測される(同予測)。
そこで今回の対策は、これ以上にバター・脱脂粉乳の在庫を増やさないこと、29万tのギャップをなくすことが最大の目標でありスタートだった。

そうしたなか、生産者は自主的取り組みとして、来年度の計画生産目標数量を対前年比98.7%(北海道100%、都府県97.3%)を上限に設定し、約4万tの生産抑制を決定した。
この自主的抑制は、次のステップに進むうえで重要だった。

加工原料乳の限度数量が195万tから185万t(10万t減)となったが、自然体の需要予測は176万tしかない。
しかし、9万tは輸入品との置き替えなどができるものとし、185万tとなった。
前年度比10万t減となることより生産基盤の維持は大丈夫かと心配されたが、185万tが把握できた実需の限界だった。

そこで、その10万t減ぶんの対策事業として、チーズ向けの需要創出分3万t(一定水準を上回って供給された場合に25円の奨励金)、生クリーム等向け7万t(同12円)が打たれた。

これらの決定について倉重氏は、「需給をこれ以上に悪化させないためには、どこにお金を使えば良いのかを真剣に考えた結果」と語った。

さらに、現在進められている「食料・農業・農村基本計画」の見直しの素案として、平成生乳の生産数量目標を800万tとしたことにも触れた。
現行の基本計画は928万tと現実と乖離(かいり)しており、その原因は、飲用牛乳等の消費の減少、減産型計画生産、経済不況によるチーズ消費の冷え込み、があると述べた。

=前田氏の講演内容は、次のDJニュースをご覧ください。

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