長期戦略なしの自由貿易協定はありえない

2010 年 11 月 15 日

Filed under: — maetomo @ 6:09 PM ニュース

東京大学大学院・鈴木宣弘教授が講演

 東京大学大学院・鈴木宣弘教授は11月15日に開かれた社団法人中央畜産会の会員研修会で、TPP(環太平洋連携協定)を含む自由貿易協定と日本の国益について講演し、「長期戦略なしの自由貿易協定はありえない」と提言した。
 講演で鈴木教授は冒頭、TPP問題への政府対応について、「一部の産業の短絡的な目先の利益や損失から、やみくもに(TPPを含む自由貿易協定へ)飛びついたり、拒否するような判断は国益ではない」と反論した。また、TPPに参加表明した米国に対し「米国は自国がNAFTA(北米自由貿易協定)などで米州圏の足許を固めておいて、アジアがアジア圏を形成することに強く反対しており、身勝手と言わざるを得ない。TPPへの米国の参加表明は、アジア圏形成の撹乱要因としての位置付けとして考える必要がある。しかもTPPは関税撤廃の例外を認めないことを大原則としており、実際にはこのルールでは米国でも参加は無理」とした。
 鈴木氏はTPPを含む自由貿易協定で農業が矢面に立っている現実に異を唱え、「対立の図式は“国益 vs 農業保護”ではなく、“輸出産業の利益 vs 中小企業、金融や医療などサービス分野、センシティブ品目、食料生産崩壊による国家安全保障のリスク、水田のダム機能や生物多様性、国土・地域の荒廃などの損失”というイメージになる」と説明し、例外を認めない全面開放のTPPに急ぐ理由に疑問を投げかけた。

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