初体験

種雄牛

先日、家畜改良事業団の前橋種雄牛センターに取材でお邪魔しました。
ここでは採精からストローへの封入、凍結まで一貫して生産されています。
目の前で粛々と行われる採精作業を見守りつつ、いろいろなエピソードをお聞きしました。
精子の品質安定と作業の安全のため、採精者と引き手(ブルをハンドリングする人)との阿吽の呼吸が必要であること、決められた作業手順を遵守すること(技術者の作業手順のズレによる品質の差をなくすため)、そして採精時から製品化までどの工程においても個体番号のダブルチェックが行なわれていることなど、細かいマニュアルが存在しています。
そして、ここでは2層式ストロー(FCマックス)の生産の様子も見ることができました。通常の1層式ストローへの封入とことなり、常に封入精子量、希釈液量を目視して細かな調整を重ねながら封入する作業には頭が下がります。「受胎率を向上したい」という技術者の思いが伝わってきました。
また併設される研究所では、製品化された精液の品質チェックをはじめ、性選別精液の製造工程も見ることができました。選別精液では、雌種を90%以上の割合で選別するため、雄種はもちろん不活精子も廃棄されるため歩留まりは相当に低いようです。精度を下げれば歩留まりは良くなるようですが、そこは「きとんと後継牛生産に貢献する」ため、精度を最優先に考えているとのことです。アメリカから導入された技術ですが、すでのその選別精度は本国よりも高いと聞きました。日本人の細やかさが反映された形です。
詳細は9月末発売のDairyPROFESSIONAL Vol.6でお届けします。