暑さに弱い牛を事前に知る?

GWを迎え、東京では暑い日が続いています。また春先は寒暖差の激しいく、気温の変化が牛にも人にも厳しい季節でもあります。
この時期頃から、ヒートストレスが酪農のテーマになり、とくに関東以西では長い期間、その対応に追われます。
暑熱対策には換気システムのカイゼンや直射日光の回避といった直接的な対策のほか、飲水・飼槽・牛床のカイゼン、飼料設計や添加剤の給与による飼養管理の改善など多くの手段が用いられています。そこで、5月下旬にお届けするDairy Japan6月号では、注目記事として「暑さに弱い牛を、暑くなる前に予測できるのか」をお勧めします。本稿はとくに高温多湿な東海地方で解析された暑熱期の反芻時間を、ホルスタイン種搾乳牛で解析したもの。
記事では反芻時間を分析することで、牛群内における暑熱に弱い牛を推定でき、本格的な暑熱期の前にこれを早期発見できる可能性について述べています。本格的な暑熱期が来る前に、ぜひチェックしてみてください。

飼料費削減のヒント

先日、新潟県のS牧場とO牧場を訪ねました。
両牧場は日本でも有数の米どころに位置するため、稲WCSはもちろん粉砕玄米といった地域生産飼料を上手に飼料設計に取り入れていました。
しかし今回の取材のメインは「もやし残さ」。もやし残さは、もやしの原料豆や製造ラインから外れたもやし、根切り処理の際に発生した根などを脱水したうえでギ酸添加したもの。水分含量は80%程度と高いものの、粗蛋白質など試料成分はアルファルファに近い特性があります。
嗜好性も高く、価格も安価なもやし残さ。輸入乾草の高騰や入手困難な状況が続く今、注目の副産物飼料かもしれません。
詳細は5月下旬にお届けするDairy Japan6月号で。また、もやし残さの飼料特性については弊社発刊『飼料特性を理解して上手に設計に活かす』をご参照ください。

長期雇用のために

先日、京都府のB牧場を訪ね、酪農場の雇用管理について伺いました。
B牧場は「スタッフの心と体とともに、家族の健やかな暮らしを守りたい」を信条にスタッフのワークライフバランスの向上などさまざまな取り組みを行なっています。代表のTさんは、「スタッフの心や体に余裕がないと、スタッフ間で技術を教えたり、教わったりすることが難しくなる」──そう実感したと言います。
さまざまな取り組みの詳細はDairy Japan5月号でご紹介しますが、実にユニークな制度の設計・導入のほか、スキルアップのための制度の導入など、農場全体のレベルアップにつながるヒントが盛りだくさんでした。
スタッフには長期で働いてもらいたい──そう考えたとき、考えるべきことの一つが人それぞれのライフスタイルと時々に訪れるライフイベントを考慮すること。今回の取材を通じて、そのことを強く感じました。
詳細は4月下旬にお届けするDairy Japan5月号で。

強い危機感を共有すべきとき

「このままでは酪農は立ち行かなくなる」──先日、1本の電話が入り、詳しくお聞きするために香川県に飛びました。
周知のとおり、エサの価格は急騰、そして高止まり。粗飼料の入手も困難を極め、粗飼料販売業者の方からも「業者間でなんとかやり取りして、酪農家さんのもとにお届けすることで精一杯。モノがない」と悲痛な声を聞きます。加えてエネルギーコストの上昇や肥料価格の高騰など、生乳生産コストはここ最近、急激に上がっている──多くの酪農家の皆さんが実感していると思います。
これらのコスト増の背景には、世界規模の新型コロナウイルス感染症の蔓延と見えない収束、それによる国際的な港湾・船便の混乱、それに加え、直近ではロシアによるウクライナ侵攻が国際社会を混乱させ、原油や穀物をはじめとするさまざまな取引価格が短期間に急騰するなど、さまざまな事柄が複雑に絡み合っていると思いますが、生産現場から見れば、まさに災害です。また国内に目を向ければ、新型コロナによるインバウンドを含む国産生乳の需要減と乳製品在庫の積み増しなど、生乳需給は緩和傾向にあり、酪農乳業にはネガティブな要因となっています。
こうした背景を考えれば、コスト増要因は短期に解決するとは考えにくいのではないでしょうか。
3月に入り、多くの食品や生活用品は相次いで値上げを発表しています。コスト増を自助努力で賄う限界を超えたというのがその理由。
酪農も乳業も、それぞれ製造コストが上がっていることは明白です。
今回お話を伺った酪農家さんは、「乳価、製品価格の在り方を再検討すべき」と言い、そのために「酪農家は危機感をもっと高め、自分たちの実態を消費者に伝えていくべき」とも加えます。
そして耕畜連携による地域産粗飼料生産・利用の拡大、未利用資源の積極活用などによる努力も一層強めていく必要も強調しました。
このままの状況で進めば、とくに都府県で多数の離農が発生し、生乳の安定供給に支障をきたすことは火を見るより明らかといえるのではないでしょうか。消費者に安全で安心な牛乳乳製品を、安定的に供給する──これは食糧安全保障を考えるうえでも重要なこと。ぜひ、努力で賄えないぶんのコスト増をどのような形で埋めていくのか、業界全体で強い危機感を持ちながら良案を探りましょう。それはきっと、将来の酪農にもプラスになるはずです。
(写真はイメージです)

快適な牛舎は見る人も幸せな気分にさせてくれる

先日、香川県のA牧場にお邪魔しました。
乳質の高さで定評があるA牧場は、いつ訪れても乳牛達が快適に過ごしている様子を見ることができます。
TMRをたっぷりと喰い込み、そしてベッドでゆったりと横臥する。言葉にすると当たり前のように感じるこの行動。それをいつでもできるようにマネジメントするA牧場は、基本に忠実に管理することをモットーとしています。
A社長は、「とにかく衛生的であること。朝晩の除糞の際には徹底してきれいにする。それが基本」と話します。
快適そうな乳牛を見ると、取材している私もとっても幸せな気分になります。