【提言】酪農経営が安心して継続されるために

 新型コロナウイルス感染症が各地で広がりを見せるなか、「もし自身が感染した場合に経営を継続させることができるのだろうか?」という不安を持つ酪農経営者も多い。
 農林水産省は『畜産事業者に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン』において、感染予防の徹底を促したうえで、仮に酪農経営者が新型コロナウイルスに感染した場合は事業継続のため、「畜産農家の体制の構築に必要な場合、農協等の生産者団体が中心となって、畜産農家、生産者団体、酪農ヘルパー組合等の関連団体、乳業者、飼料製造業者、運送業者等の間で業務分担する体制を検討・構築してください。また、必要に応じ、地方自治体に指導を要請してください」(原文ママ)と記している。また、酪農ヘルパー全国協会も『新型コロナウイルス感染症に係る酪農ヘルパーの対応について』で、酪農経営内で従事者が確保できない場合には、「傷病時対応と同様に、罹患した酪農家への支援を最優先として取り組めるように、事前に利用酪農家の理解を得ることと」(原文ママ)として、二次感染防止と消毒を徹底したうえで出役し、酪農経営の継続に協力する旨を記している。
 さらに、農林水産省は令和2年度の補正予算においても、酪農ヘルパーを含む代替要因派遣の支援、家畜の公共牧場等への緊急避難・委託管理などに対する支援、農場消毒経費の支援などを盛り込んでいる。
 こうしたなか冒頭記したように、自身が感染した場合の経営継続について不安の声が上がっているのは、地域・組織レベルで酪農経営者が新型コロナウイルスに感染した場合の対応にばらつきがある、または対応を決めかねているということにあるのではないか。
 酪農は食品を扱う産業であると同時に、乳牛の命を預かる産業でもある。感染が発覚した際には、極めて早急な対応と飼養管理の継続が求められる。酪農経営者が安心して事業を継続するためには、地域や組織における対応に差異がなく、陰性が確認されて作業に復帰するまでの間の経営資源の保全が担保されなければならない。未知のウイルスでかつ、強力な感染力を持つ新型コロナウイルスは、いつ・どこで感染してもおかしくないと全国の酪農経営者・組織が認識を共有して、このウイルスによる経営離脱者が発生しないよう団結すべきだろう。
 また、新型コロナウイルス感染症による酪農経営へのリスクは、酪農経営者や牧場従業員の感染だけにとどまらない。ミルクローリーや飼料・資材の配達やサービス、農協をはじめ多くの関係団体・企業・個人が酪農経営と密接に関係している。その一部が停止してしまえば、酪農経営は短期間でも大きなダメージを生じ、被害が長引けば酪農経営の廃業を余儀なくされることも共有すべき事項だろう。
 幸い酪農は、これまでもバイオセキュリティの知識を積み重ね、現場で実践してきた。感染症予防については一般他産業よりも知恵と実績がある。
 これからも酪農経営を維持し、食料安定供給に期するため、今こそ地域の枠組みを超えた対応を早期にまとめあげるべきだ。
(文責=編集部)

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